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風邪 -3-
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俺は再び家に帰ろうと提案して、興本も「そうだな」と首肯したと思ったのだが。
興本が俺を連れてきたのは古びたラブホテルだった。ここは過去に2,3回ほど連れてこられたことがあった。あれは何時のことだっただろうか。
ラブホテルらしからぬ簡素な部屋へ入って、過去の記憶が蘇った。
ここに初めて来たのはまだ興本との関係が始まって間もない頃だ。まだ高校に入学する前で、受験を終えたすぐ後の日だ。金もないが致す場所もないということで、興本が格安で入れるこのホテルへ連れてきたのだった。
格安と言っても中学生のお小遣いでは少し厳しい金額だったはずだが、興本が全て支払ったので具体的な金額を俺は知らない。
中学生で入れるのかと不安に思いながら着いてきたのだが、受付は無人だった上、当時から興本は長身で大人びた雰囲気だったから、私服であれば大学生くらいには見えていた。
俺は頭を抱えられていたから、きっと監視カメラから見られていても男同士ということはバレてもそれが中学生二人だとは思われなかっただろう。
思い描いていたラブホテルのイメージとは違って普通のビジネスホテルのような簡素な部屋に驚いた。そしてシャワールームのドアに鍵が付けられていないことだけがそれらしさを醸し出していて、とても緊張しながらシャワーを浴びた記憶がある。
ああ、そうだ。ここのシャワーを浴びていると興本が入って来て、そのまま犯されたんだっけ。
その時はすでに俺は興本に逆らえなかったから甘んじて受けれた。それに初めての場所で緊張も相まってか、俺も少しだけ興奮してしまった。恥ずかしい。
そんなふうに想いを馳せながら部屋へ入ると、先に部屋へ足を踏み入れた興本が倒れるようにベッドへ身を投げた。
「井瀬、こっち」
動くのも辛いのか、手を挙げて仕草だけで俺を呼ぶ。
駆け寄ると俺の腕を掴んでそのまま一緒に俺もベッドの上に引き倒された。
ダブルベッドに敷かれた布団はふわふわで、ぎしりとスプリングの音を立てつつも難なく男二人の体重を受け止める。
間近で聞こえる興本の息は熱くて浅い。本当はここに来るまでも辛かったんじゃないだろうか。
「興本、もう寝なよ」
暑いだろうがそこは無視して、俺は下敷きになっている掛け布団を引っ張りあげ、興本の肩まで被せた。俺も一緒に横になれば、興本はようやく目を閉じる。
少し汗ばんだ額を掌で拭いでやる。
その肌はやっぱり熱を帯びていた。
片手を上げて部屋の明かりを落とす。暗がりの中で俺も一緒に目を閉じた。
隣に興本が居て、服を着たままで眠るのはなんだか変な感じがした。
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