アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
#17
-
「比那、お待たせ」
威圧的なオーラを放つのに、声はとっても優しい。
なんで誠が俺のことを好きなのかいまいち分からないけれどそれでいい。
俺が欲しいのはそばに居てくれる人。
そこに理由なんていらない。
「混んでたの?」
「まぁまぁな。ほら、約束のエビやるよ」
「わ、ありがとう!」
天然で可愛い俺を演じる。
みんなだってそうだ。
何かしらの仮面をつけて生活しているに決まってる。
俺はその仮面が、人より少しだけ分厚いだけ。
他はなにも変わらない。
「はは、餌付けしてるみたいだ」
少し意地悪い顔で誠が見てくる。
俺はその顔が苦手だ。
意地悪い顔をするくせに、目はとても温かく見守るように見てくるから。
思えば東堂先輩は逆だった。
温かくて優しい顔をするくせに、目はいつも冷たくて優しくない。
どっちがいいかと聞かれても分からない。
でも東堂先輩が好きだということならば、後者の方がいいんだと思う。
誠のような無償の優しさは俺には見合わないから。
「お礼にサラダあげます」
「比那が食べれないだけだろ」
そう言いながらも笑顔で俺のサラダを食べてくれる誠。
エビフライとサラダじゃ割に合わないのだって、誠なら分かるはずなのに。
あぁ、やっぱり誠とは付き合えない。
だって俺は誠みたいに綺麗じゃない。
すっごく汚いやつだから。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
17 / 34