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序章 2
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俺は素早く支度をし、親しい者に手短に挨拶するとすぐに王都を出発した。
正直言ってもうほぼ時間が無かった。身体の中に魔力がグルグルと渦巻いているのがわかる。
はやく、はやく巫女姫を救い出さなければ。
俺は跨った馬の腹を足で締め、振り落とされないようにしがみついた。
…ここから魔王軍の領域だ。
俺は来る途中に出会った魔王軍の小隊長レベルだと思われる狼の魔物の毛皮を取り出し、頭から被る。
ある程度権力があり、2足歩行で人間型、人語を話せるほど知能がある魔族を倒すのには少々時間がかかった。
巫女姫はきっと、砦の4階にある軟禁部屋だろう。
馬を水場の近くの木陰に隠し、徒歩で砦へと向かう。
こそこそしたら逆に気づかれると思い、俺は正面の門から正々堂々と入ることにした。
「お疲れ様です。」
門番は下級兵なのだろうか、敬語を使われた。もしかしたらこの毛皮の持ち主は、思ったより位が高いやつだったのかもしれない。
俺は手を上げて挨拶を返す。
戦っている時は確かこんな風に部下と接していたはずだ。
ちなみに声はさほどかけ離れているわけでもなかった。
声変わりしたばかりでまだ若干幼さも残る声。
だが、あまり積極的に声を出す必要はない。
俺は素直に砦の中に入ると、入り口を左に曲がり階段を目指す。
この砦には何度か訪れている。迷う心配はない。
途中魔族と何度かすれ違ったが、誰もこちらに気をかける様子はない。
もしかした天職かもしれないな、と心の中で呟いた。
4階に上がると、すぐに軟禁室が見えた。見張りが2人(匹)ほど、眠そうに立っている。
危機感も全くない。魔族か人間かは魔力量を見れば一発でわかるので、そこまで警戒する必要もないのだろう。
どうするべきだろうか。倒す?それとも巫女姫の場所を移すように頼まれた、とでも言うべきか。
だがこの皮の持ち主は、そこまで偉いのだろうか。魔族のヒエラルキーはよくわからない。
しばらく考えてから、声をかける事に決めた。
もしバレたら倒してしまえばいい。
どうせ巫女姫を移動させる時に、魔力の流れで巫女姫はすぐ見つかってしまう。
最終的に強行突破しか方法は無いのだ。
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