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そんなこんなで準備をし終わって時計を見ると、もう12時近くになっていた。
父さんたちは会議があり先に家を出ていたので、俺は母さんが用意してくれている昼ごはんを食べようとリビングに向かった。
「あ、オムライスだ。」
母さんのオムライスは俺の大好物である。
ケチャップの味が濃いめで、ふわふわの卵にはチーズが入っている。
小さい頃から何かあればこのオムライスを作ってもらっていた。
レンジでオムライスを温めようと思い、うきうきしながらキッチンに向かうと、そこに置いてあったメモと小さな袋に気がついた。
『悠莉へ。一応薬を飲んでおきなさい。』
母さんの字だ。
「薬…。」
俺はそのメモの横にある袋の中の薬を見ると、さっきまでうきうきしていた気持ちが一気に沈んだように感じた。
Ωの発情期は3ヶ月に1回だが、何かのきっかけでαに誘発され、突発的に発情期を起こすことがある。
事務所にも、今日会う人たちもαばかりだから、一応自分でもこんな風に抑制剤を飲んで予防しておいたほうがいいのかもしれない。
そう、納得はするが、こういうときにやっぱり自分の体は面倒くさい、と思う。
誰にも気軽に会うことができない、そんな自分がまた1つ嫌になる。
……チーン!
「うぉわ!」
びっ…くりした…。
そういえばオムライスを温めていたところだった。
美味しそうな匂いが辺りに漂う。
その匂いに少し気持ちが落ち着いた気がした。
「健くん来ちゃうから早く食べないと。」
そう自分に言い聞かせ、自分の心の黒い部分から目をそらすようにオムライスをたいらげ、薬を飲み込んだ。
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