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22《祐樹side》
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…あいつが拓人に連れられてスタジオに入ってきた瞬間から、スタジオの中に、今まで抱いたことのあるΩと似たような、もしくはそれ以上の甘くて艶やかな匂いが立ち込めた。
3人はそれに気づいていないようで、あいつを取り囲み話をしている。
俺は、この匂いがやばくて、1人、話の中には入れずにいた。
「ねぇねぇ、花谿…悠莉くんだっけ?社長と同じ名前だけど、親戚とかなの?」
拓人の問いかけに、ずっと下を見ていたあいつがやっと顔を上げた。
ーーーーーーーどくん、
あいつの顔を見るなり、自分ですら知らない体の奥の方が疼くような感覚に襲われた。
あいつはおれが今までであってきた奴らの中でも、ひときわ綺麗な顔をしていた。
色白で色素の薄い髪、くっきりした二重にフサフサなまつげのでっかい目、小さくてぷっくりした唇。
緊張しているからなのか、肌が白いことも相まって、頬と唇が赤く染まっていた。
俺は自分でも気づかないほどあいつのことを食い入るように見つめていたみたいで、突然あいつと目線がぶつかった。
俺は気がつくと言うつもりのなかった一言を口に出していた。
「お前Ωだろ。」
あいつは目を大きく見開き、さっと青ざめた。
他の3人は全く気づいていなかったみたいで、俺の言葉にものすごく驚いていた。
「なんで祐樹さんだけ匂うんですか?あ、……まさか、」
伊吹の言葉に、俺はある1つのことを思い出していた。
あいつも思い当たる節があったのか、だんだんと顔色が悪くなる。
俺と運命だとか言われて、人生の終わりみたいな顔をしているあいつに、なんだか訳もなくイライラして、気づけば俺はあいつに酷い言葉を投げかけていた。
あいつは俺の言葉に傷ついたのか、目に涙を溜めながら俺に突っかかってきた。
そんな姿になぜだか、綺麗だと思ってしまった。
あいつは俺に好き放題言い終えると、勢いよくスタジオを飛び出していった。
…今日の俺は本当によくわからない。
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