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40《祐樹side》
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とりあえず、社長にでも連絡をしておこうと思い、ベッドの横の椅子から立ち上がった。
「…ぅお、」
…ふいに誰かに後ろから引っ張られた。
振り返ると、悠莉がうっすらと目を開けて、俺の服の裾を掴んでいた。
「…どうした?」
「…ゃ、だ…ぃかな…で…ひと、りに…しなぃ、で…」
そんなことをつぶやくこいつの目は焦点が定まっていないようで、まだ夢の中なんだろうと思う。
多分、俺が誰なのかも気づいていないのだろう。
「…分かった。ちゃんといるから、…な?とりあえず今は寝てな。」
「………ん。」
俺が頬を撫でながらそう声をかけると、こいつはすりすりと俺の存在を確かめるように手に自ら頬を寄せ、安心したのか再び眠りについた。
その隙に俺は廊下に出て社長に電話する。
…その電話がやっと終わったのは、約15分後。
あいつは俺が想像していたよりも、過保護に育てられていたみたいで、社長と副社長に何度も何度も今の様子や病状を聞かれた。
その後も、“どうしても抜けられない会議があるから、悪いが、目が醒めるまで付いていてやってほしい。もし目が覚めたら、家まで送ってやってほしい。”と頼まれた。
俺は、面倒なことになったと思いながら、分かりましたと返事をして、医務室に戻った。
「…あはは!拓真さんって面白い人ですね。」
「えー、なんか心外。でも、姫がこんな可愛い顔で笑ってくれるなら、別にいいやぁ。」
…俺と社長たちの長電話の間にあいつは目が覚めていたらしく、なぜか宇野とものすごく楽しそうに会話をしていた。
「…もう大丈夫なのか。」
なんかすごくイライラする。
「え?あ、うん、ごめん、だいぶましになったよ。」
「…だったら帰るぞ。」
俺はズカズカとこいつらに近づき、かばんを持って腕を引っ張った。
「ぅ、わ!ちょ、何す、おい!」
こいつは俺の突然の行動にびっくりしている。
「おいってば!もう!拓真さん、また来ますね!」
「待ってるよ〜!」
…宇野のやつ、ちゃっかり次会う約束までしたのか。
なんなんだよ、すごいムカつく。
俺はそのままスマホで田村さんに連絡を入れて、前に回してもらっていた車に乗り込んだ。
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