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俺が拓真さんと盛り上がっていると、電話が終わったのか、あいつが帰って来た。
そして部屋に入ってくるなり、なぜか怒った様子で、突然俺の手を引っ張って医務室を出て車に乗り込んだ。
俺は医務室を出る前に、拓真さんがまたココアを飲みにおいでと言ってくれたので、また来ますねと急いで返事をした。
…そして今は車の中で、2人の間には重たい空気が流れている。
「悠莉くんは、体調は大丈夫なの?」
そんな空気を感じてか、車を運転してくれている健くんが話しかけてくれる。
「え、あ、うん。ごめんね、心配かけちゃって。」
「そっか、良かった。」
「良くねぇよ。」
突然あいつが声を上げる。
「もし今日俺が帰ってて、誰もあそこを通らなかったらお前、どうしてたんだよ。」
「………」
「練習すんのもいいけど、自分の体のこと考えずに好き勝手にやって、倒れて周りに迷惑かけることになったら、ごめんなさいじゃ済まないんだぞ。」
こいつの言うことはもっともだ。
俺は、自分が出来ないことに焦って、みんなのためと言いながら、結局自分のことだけしか考えてなかった。
もしあのまま無理やり続けてて、本当に倒れてしまったら、入院なんてことになってしまったら、他のメンバーにたくさん迷惑をかけることになっていただろう。
「…ごめん、なさい。」
俺はその言葉に改めて自分の勝手さを反省して、謝った。
そのときちょうど車が家の前に着いた。
「今日はもう余計なことするなよ。早く風呂入って寝ろ。」
「…分かった。ほんとに、ごめん。…おやすみなさい。」
「…おやすみ。」
こいつの言葉は棘があるけど、どこか優しくて安心する。
俺は家に帰ったあと、あいつに言われた通り、お風呂を済ませて、布団に入った。
あんまり寝れないかなと思ったが、最近の睡眠不足が思ったより体にきていたらしく、俺はすぐに眠りについた。
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