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47《祐樹side》
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「……ッあぁ!」
____ガンッ
あいつが逃げたあと、わけのわからない苛立ちと言いすぎたことへの後悔が自分の中でぐるぐると渦巻き、すぐそばにあったゴミ箱を蹴り上げた。
この間からずっとこうだ。
俺は今まで、人と関わることはうまくやってきた。
αであることも関係していたかもしれないが、大抵のことが自分の思い通りになった。
…でも、あいつに対してだけ、俺はどうしたらいいのか分からなくなる。
さっきだって、宇野とあいつがそういう関係なら、俺は何も言わずに立ち去ればよかったのに、つい邪魔をしたり、訳もわからずイライラしてあいつにあたって、また泣かせてしまったり…。
「………わけわかんねぇ。」
俺は自分の頭をくしゃくしゃと掻きながら、もうすぐ練習が始まるスタジオに戻った。
「あ、祐樹おかえり。」
「あれ?ゆうくんは?祐樹が呼びに行ったんじゃないの?」
…そういえばそうだった。
俺は拓人の言葉に、自分が現場を見てしまった理由を思い出した。
「…あいつは腹痛でトイレに行ってる。」
俺はとっさに嘘をついた。
あいつはまだ泣いているんだろうか…。
とりあえず俺は、自分の気持ちが落ち着くまであいつには近寄らないでおこうと決心して、始まった練習に集中した。
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