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それから2日経ったある日、俺は社長室に呼び出されていた。
今はなぜか父さんと母さんと向かい合って大きなソファに座っている。
俺だけなら、なんで朝にしなかったんだろう。
そう思いながら座っていると、
____コンコン
「お待たせしましたぁ。」
ノックと同時に、息を呑むほど綺麗な女の人が入ってきた。
透き通るような白い肌に、キラキラと光る色素の薄い長い髪、大きくて丸い目に、高く筋の通った鼻、赤く熟れたような唇、人間離れしたような容姿のその人は、俺の顔を見ると大きな目をさらにまん丸にして俺に近づいてきた。
「君が悠莉くん??…うわぁ〜!副社長からいろんな話聞いてて、ずーっと会いたかったんだぁ!!」
「!ぇ、あの、ちょ、ぅわ!!」
その女の人はそのまま俺に抱きついてきた。
最近は男の人とばっかりと過ごしていたから、女性に対して免疫がなくて、ドキドキした。
…なんか、この展開、誰かに似てる気がする。
「ちょっと、凛、あなた自己紹介まだでしょ?」
母さんがそう言って、俺と女の人の間に入ってくれた。
女の人は、忘れてた!と言って俺の隣に座りなおし、自己紹介を始めた。
「初めまして!私の名前は岡本凛、22歳。この事務所では、モデル兼女優をやらせてもらってるの。それから、」
凛…さんは1つ息を吸いこんだ。
「…私もあなたと同じΩなの。」
「……Ω…」
俺は、母さんと健くん以外で初めてΩの人に出会った。
しかも、芸能界でお仕事をしているなんて。
「凛くんに来てもらったのは、これから悠莉がデビューするにあたって、同じ立場の人がいるのを知っている方が何かといいかと思ってな。」
…確かに、俺はまだ悩んでいた。
こんなに面倒なリスクを背負っている俺が、こんな人たちと一緒にいていいのか。
やっぱり父さんたちには分かってたんだなぁ。
…そんなことより、凛さんってどこかで見たことのある顔だ。
色が白くて、綺麗な顔の作りで、この顔も…どっかで…?
「あ!もしかして…伊吹くんのお姉さんですか?」
そうだ!伊吹くんに似てるんだ!
「えぇ、そうよ。伊吹からなんか聞いてるの?」
「あ、いや、自己紹介のときに、Ωのお姉さんがいるってことだけ聞いてて、もしかしたらって。」
伊吹くんのお姉さんだから、きっと綺麗な人なんだろうなとは思っていたけど、これは想像以上だ。
しかも、父さんの事務所で働いてるなんて驚きだ。
「ところでな、悠莉。お前に来てもらったのは、1つ言っておかなきゃならないことがあるからなんだ。」
「………何を?」
俺がそう聞き返すと、父さんは少し困ったような複雑な顔をした。
「悠莉がΩであるということを、この事務所でのトップシークレットに指定する。」
「………え?」
「悠莉も分かっているだろう?…Ωであることが知れ渡ると、お前が危ない目にあう。」
…分かってる。
それは、もう嫌になるくらい痛いほどに。
「武谷くんたちにも、今ごろ健くんから話をしてもらっている。」
「…そっか。」
あぁ、また1つ面倒なことを増やしてしまったなぁ。
ごめんね、みんな。
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