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それから俺は、“iris”を全員αとして公表することを聞いた。
俺は体力もないし、軽い運動音痴だから、気づかれないように頑張らないと…
これ以上みんなに迷惑かけられないしね。
凛さんはこの後仕事があったらしく、連絡先の書いたメモを残して帰っていった。
俺も練習があったので、父さんと母さんに見送られながらスタジオに向かった。
「あ!姫、やっと会えた〜。」
「!、た、拓真さんッ!」
その途中で突然後ろから抱きつかれて驚いた俺の耳に聞こえてきたのは、拓真さんの声だった。
あの日から少し気まずくて、拓真さんのことも避けていた俺は、医務室に行かなくなっていた。
「姫と最近会えなくて、俺すげ〜寂しい…」
「ぅえ、ぁ、ちょ、拓真さん、あの、」
そんな人からの突然のスキンシップに戸惑っていると、今度は横から腕を引っ張られて、誰かにまた後ろから抱きしめられた。
「宇野センセイ、こいつが嫌がってるんでやめてもらっていいですか?」
…あいつの声だ。
え、何で?何であいつが拓真さんと?
俺は何で抱きしめられてるの?
俺は軽くパニックになり、少しバタバタと抵抗すると、肩に回された手にギュッと力が入った。
それはまるで、“大丈夫”とでも言われているかのように優しかった。
「え〜、そんなことなかったよねぇ。祐樹こそ嫌がられてるんじゃない?」
「そんなことある訳ないじゃないですか。」
「大した自信だね。」
2人は俺のことは忘れているかのように、俺を挟んでよく分からない言い合いをしている。
「…取りあえず、こいつのことは渡さないんで。」
「……は⁉︎」
なんだか、あいつはとんでもなく勘違いされそうな言葉を言い放った。
そしてそのまま、あいつは俺の手を引っ張って廊下を突き進んでいった。
…デジャブだな。
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