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「…………」
「……………」
俺は、無言のまま腕を引っ張られ、たまにこけそうになりながらあいつの後についていった。
さすがにその沈黙に耐えられないので、そろそろ話しかけてみようかと思う。
「………あの、「ふざけんじゃねえよ!!!」ッ!」
突然、いつも明るい雰囲気で人気のはずのエントランスから、怒鳴り声が聞こえた。
「お前らじゃ意味ねえんだよ!ぁあ!? いい加減にしろよ!!!!!」
…ぁ、だめ、だ……
急いで耳をふさいだけれど、大きな怒鳴り声はその上からも入ってくる。
その声は、俺の心臓をギリギリと縛り上げてゆく。
「、はッ、ぁ…、…はぁ、ぁ、…ン、は、…」
…上手く息が吸えない。
落ち着こうとすればするほど、どんどん息苦しくなっていく。
「…ぃ、……うした?……ょう…か?」
近くで誰かが声をかけているような気がするけれど、もうそれにすがる余裕もない。
俺の体はひとりでにガタガタと震え、視界がぼやけ始めた。
「お前は黙ってろよ!!」
————大きな声出すなよ!!
怒鳴り声と昔の記憶が重なり始める。
思い出したくない過去が掘り起こされる。
————逃げんじゃねえよ!
…ご、ごめ…なさ…
————暴れんな!!
…ごめ…なさ、い…
いつになったら聞こえなくなるの、
いつになったら忘れられるの、
息が苦しいよ、
ねぇ、
だれかたすけて、
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