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57《祐樹side》
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「ふざけんじゃねえよ!!!」
突然、俺の耳に怒鳴り声が聞こえてきた。
その瞬間掴んでいた手が振り払われ、俺は後ろを振り返った。
そこには、震える手で自分の耳をふさいでいるあいつの姿があった。
「おい、どうしたんだ?大丈夫か?」
その姿に驚いたが、後ろから聞こえる怒号にさらに体を震わせ、呼吸まで怪しくなってきている様子に我に返り、声をかける。
でも、俺の声が聞こえていないのか、何も反応はない。
「お前は黙ってろよ!!」
エントランスに響いたその声に、いや言葉に、か?
こいつはビクリと体を震わせ、より一層震えはじめた。
その様子にこの場所から離れたほうがいいと思い、震える肩を支えながら歩き出そうとした。
「Ωを犯ったのがそんなに悪いことかよ!」
俺は歩みを止め、耳を抑えている手の上から、自分の手のひらを重ねた。
「俺らはΩの相手をしてやったんだよ!じ、ぜ、ん、か、つ、ど、う!!なあんで俺がここ解雇されなきゃいけないんだよ!!!」
普段なら気にも留めない声が、言葉が、胸をざわつかせる。
重ねている手のひらに、自然と力が入る。
…こいつの耳に届かないように、と。
俺のそばで震えるこいつは、こんな奴に傷つけられたのだろうか。
ふざけるな。
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