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58《祐樹side》
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「古澤くん!」
俺の心が怒りに満ちそうになったとき、騒ぎを聞きつけたのであろう田村さんが、俺たちのもとに走ってきた。
「古澤くん、だいじょ、悠莉くん!?」
そして、俺の影に震える肩を見つけ、目を見開いた。
「あの、」
「…悠莉くん?…大丈夫だよ。びっくりしたね。」
俺が状況を説明しようとすると、初めは驚いていたものの、田村さんはこいつの異常な様子に落ち着いて話しかけ、手慣れたように肩や背中をさすりはじめた。
「祐樹!どうしたんだ!?」
俺が、2人の様子に、どうしてか動けずにいると、騒ぎを聞きつけたのか、スタジオで待っていたはずの龍たちが駆け寄ってきた。
「悠莉くん!?、ど、どうしたんですか?」
伊吹が、田村さんに支えられているこいつの姿に驚いた様子で、俺を見る。
俺は、警備員に抑えられながらもまだ騒いでいる男の姿を見ながら、ざっと説明した。
「……本当だったんですね…。…彰人さんが、Ωを無理やり…、」
「…あぁ…。そのせいで解雇されたっていう噂もな…。」
さっきからそこで騒いでいる男は、この間まで俺たちの先輩だった彰人さんだ。
つい2週間ほど前、突然事務所を解雇された。
後輩たちの間では、気前のいい優しい先輩で人気があったが、正直よくない噂があった。
それは、彰人さんが裏でΩを食い物にしている、というものだった。
実際、彰人さんと近かったΩの人たちが、何人も事務所からいなくなっていたのだ。
だから、俺たちの間では、それが原因で辞めさせられたんじゃないかと囁かれていた。
伊吹と話していると、彰人さんは無理やり事務所を引っ張り出されていき、騒がしかったエントランスが静かになった。
何事かと様子を見ていた人たちも、それぞれの仕事に戻り始めた。
「悠莉くん!?、大丈夫だよ?、大丈夫だから!」
突然、後ろにいた田村さんの声が俺の耳に入ってきた。
さっきとは違う様子に、俺たちは急いで側に駆け寄った。
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