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63《祐樹side》
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部屋の中は7人もいるはずなのに、怖くなるくらい静まり返っている。
みんな息をするのを忘れてしまったかのように…。
そんな静かな部屋には、ただ、社長の低い押し殺したような声だけが聞こえてくる。
「…あのとき、あの3日間、本当は何があったのか…、私たちはよく知らないんだ。…もしかしたら、ただ知りたくなかっただけかもしれないが…。…あの日の、タオルにくるまれた悠莉の姿、体についた無数の傷跡、警察官の表情、空き家の周りに漂っている匂い…、すべて、そのすべてが、あの3日間を物語っていた…。」
社長は、小刻みに震える手を、ぎゅっと握りしめ、大きく息を吐いた。
「…その時のことがトラウマになって、あの子は、笑わなくなった…、いえ、笑えなかったのね、きっと。…大好きだった、信じていた人に、裏切られ、傷つけられ、心がボロボロになってしまったの。…家を出れなくなって、1人で寝れなくなって、大好きなダンスも辞めてしまった。」
悲しそうに微笑んだ副社長は、言葉を続けた。
「…でも、健くんのおかげで、悠莉はまた笑えるようになった。あなたたちのおかげで、また、楽しんで踊れるようになった。…本当にありがとう。」
そう言って俺たちに頭を下げる副社長に、何か言葉を返したくて、口を動かそうとすると、突然社長が俺たちに言葉を放った。
「だが、社長として君たちに聞きたい。本当に、花谿悠莉とともにやっていくつもりなのか?」
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