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…夢…なんだろうな…
……だって…お兄さんが…笑ってるんだもん…
…俺と…一緒に……
夢なら…ずっと…覚めないでよ…
…そしたら…あんな苦しいこと…
ずっと思い出さなくていいのに…
そんな願いは叶うはずもなく、俺は、遠くから聞こえてくる誰かの話し声に、現実へと引き戻された。
ゆっくりと目を開けると、何かが頬を濡らしていた。
「…………ぁ、れ…」
いつのまにか、泣いていたみたいだった。
そういえば、あんな夢を見たのは久しぶりだ。
見えていたのは口だけで、あとはもやがかかったみたいだったけど…
…笑ってたなぁ…
そんなことをぼーっと考えていると、隣の部屋から話し声が聞こえてきた。
俺は閉められている扉にそっと近づいた。
「だが、社長として君たちに聞きたい。本当に、花谿悠莉とともにやっていくつもりなのか?」
思わず、息を止める。
…そうだ、俺、パニックになって倒れたんだ。
ここ、社長室だし、みんないるのかな…
話したのかな、あの時のこと…
だったら、ふつうは嫌だよね。
Ωだし、突然パニック起こすし、邪魔だよね。
そんな風に自分を納得させるが、胸を抑える手は小さく震えている。
やだなぁ…もう。
こんな弱い自分。
こんな自分じゃ迷惑かけるって分かってたじゃん。
なのに今さら…今さら、いらないって言われるのが怖いなんて…
本当に、最低だよ。
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