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自分の心が黒く染まってゆく。
紙に黒い絵の具を垂らしたように、じわじわと…。
そんな自分をみたくなくて、ぎゅっと目をつぶろうとしたその時、あの声が聞こえた。
「俺は、あいつしか、悠莉しかいないと思っています。俺たちと、Irisを創っていけるのは。」
…な、んで?
なんで…
「俺も!ゆうくんと踊ってるとめっちゃ楽しいんです!だから、だから大丈夫!」
「僕も、ゆうくんと一緒に、ずっと踊りたいです…。」
たっくん…伊吹くん…
2人とも…声が震えてる。
「…そうか…。」
父さんがそっとつぶやく。
すると、ぎしっと何かが音を立てた。
「……社長、俺たちに悠莉をくれませんか?」
龍…さん…
やばい…泣きそ…
そう思って上を向いたけれど、
目尻から次々と涙が零れ落ちる。
俺は、扉伝いにしゃがみ込み、
向こうに嗚咽が聞こえないように声を殺して泣いた。
あの日、俺はあきらめたんだ…
自分からΩのフィルターを取ることを。
花谿悠莉そのままを見てくれる人を。
でも、いたんだ、ここに。
…頑張らなくっちゃな、強くなるために。
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