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69《祐樹side》
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「おい!お前、大丈夫か…?」
一緒に倒れこみ俺の膝の上に乗っかったまま、一向に動こうとしない様子に、どこか怪我をしたのか声をかける。
「おい、」
こいつが突然、んへへ、と笑いながら俺の胸元にすり寄ってきた。
すんすんと鼻を鳴らしている。
色素の薄い細い髪が、首元をくすぐる。
ふわりと甘い香りが漂う。
俺は無意識に、目の前に見えるほくろ1つない白い首筋に顔を近づけた。
「…ん、」
耳元で聞こえた掠れたような甘い声に、ハッとする。
…今、何をしようとしていた?
途端に自分が怖くなり、俺はこいつから離れようとした。
動かした指の先が、何かによって濡れる。
ふとその方向を見ると、グラスが倒れていた。
「……何だ?」
指についた液体を匂うと、微かにぶどうとアルコールの匂いがした。
…そういえば、副社長が飲んでいたグラスと同じだ。
俺は、さっきから甘えたようにすり寄ってくるこいつの原因がわかり、とりあえず水を飲ませようと、こいつを抱えたまま立ち上がり、ベッドへと運ぶ。
「水持ってくるから、大人しく待ってろ。」
そう言って、部屋を出ようとした。
ドアノブに手をかけたとき、ねぇ、とあまりにも小さな、聞き逃してしまいそうな声が聞こえた気がして俺は振り返った。
ベッドに座ったまま俺を見つめ、小さくつぶやく。
「…ね、…おれ、のなまえ…よんで?」
酔っているせいか、目じりや頬をほんのりと赤くさせた顔が、月明かりに照らされる。
俺はその姿に吸い寄せられるかのように、一歩、また一歩と少しずつ近づいていく。
俺の目をじっと見つめるこいつの頬に、そっと手を添える。
「………ゆ、き…?」
俺の名前を呼ぶ舌っ足らずなその声に、俺の理性は一瞬で消え去っていった。
もう一度俺の名を紡ごうとした唇を塞ぐ。
「ゆ、ぅ…、ん、」
「、は、悠莉、…」
何度も何度も浅いキスを繰り返した。
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