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73《健太side》
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「私がまず最初に挨拶をする。その後に、白石くんが君たちを呼ぶから、待機しているドアから武谷くん、水篠くん、古澤くん、悠莉、沢田くんの順で出てきてくれ。」
社長に名前を呼ばれた彼らは、はい、と口々に返事をしている。
僕はただ立っているだけだったけど、なんだか、すごく感慨深い。
実は、相川くんが脱退することが決まったとき、悠莉くんの名前を出したのは僕だ。
あの日から、僕はずっと本当の笑顔が見たかった。
あいつが奪った笑顔を。
最初は社長も渋っていたけれど、だんだんと明るくなっていく表情と、悠莉くんを囲む彼らの様子に、嬉しそうに笑っていたのを覚えている。
…誰かと踊ることが大好きで、でも踊れなかったあの子が、狭い世界しか信じられなかったあの子が、今日、とてつもなく広い世界へと進んでゆく。
それは、とても…とても嬉しくて、でも同じくらい不安で。
関係のない僕が、なんだか泣きそうになる。
ふと視線を感じて顔を上げると、いつから僕のことを見ていたのだろうか、悠莉くんと目が合った。
悠莉くんは、にこ、と照れたように口元を緩ませる。
その姿が、幼いときのそれと重なる。
…大丈夫なんだね、きっと、彼らがいれば。
僕は、真剣な眼差しで社長の話を聞いている彼らに、がんばれ、と呟いた。
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