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-4- 相沢 明弘
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そこにいたのは…
多分今回のもう1人の有名な共演相手。
相沢 明弘。
彼は先に台本を読んでいたのか、その手を止めてこちらを見た。
あまり他人に興味がない椿でも知っている顔。
彼は無表情で七瀬美香に挨拶をする。
そして椿にも…
「っ…」
彼と目線が交差して一瞬息をするのすら忘れる。
彼の目は獣のようで、光のせいか鋭く見える。
全身に電気が走るような感覚。どこかが熱くなるようで、何かが普通と違った。
なんとか冷静さを保って挨拶をする。
席に着き台本を見る。
さっきのは一体なんだったんだろう。
なんであんなに威圧があったんだろう。
集中…集中。
無言の状態が25分ぐらい続いた。
さすがのさっきの甘い女優さんも気まずそうにただひたすら台本を見ている。
こういう状況の方が俺的には楽なんだけどな。
こうして見るとやっぱり2人はトップなだけある。
台本の読み方がうまいと思う。
七瀬美香は可愛くてちょっと色気がある。
相沢明弘はとてもよく整った顔をしている。
濃いダークブラウンと黒が混ざったような髪、身長は俺より高いのだろう。
ガチャ…
「どうも! 山田裕史だよ!」
随分と明るい雰囲気でドアを大きく開けて入ってきた彼は監督。彼も有名な人だ。
その後にも、椿のマネージャーも含め、数人部屋に入る。
「だよねー うんうん」
「そうですーよー」
「あははは!」
楽しそうな笑い声とともに入ってきた3人はマネージャーたち。
見る限り3人は仲が良さそうだ。
いつからそんな風になったんだっていうくらい盛り上がっている。
「はーい!!じゃ自己紹介から始めよう!」
山田監督も楽しそうなノリだ。
メインの役者たち3人のような異様な空気はない。
「はーい じゃあ監督の俺から! 山田裕史だよ。」
監督は自分の自己紹介の後、目線で七瀬美香に自己紹介をするようにと伝える。
「私は七瀬美香です❤︎」
その語尾にハートがつくキャラは一体なに…
彼女が目線を椿に向けて来て椿は挨拶をする。
「秋原…椿です。よろしくお願いします。」
そして今度は…
「相沢明弘です。」
…
声を聞いて少しだけ胸の鼓動が早くなった気がした。
彼の声はこれに優しさがあれば絶対に惚れるぐらいのかっこいい声だ。
いやいや、何意識してるんだ。
ただ惹きつけられる何かを持っている気がする。
「相沢明弘のマネージャーの藤原 拓海でーす。」
「七瀬美香ちゃんのマネージャーの佐藤 春樹です。」
「で、最後にこの子のマネージャーの香川 陸です!」
なんで俺のことをこの子って指すんだろう。
2人のマネージャーが笑ってる。
そんな場を切るように監督が声を出した。
「はーい!じゃあもう台本を渡した通り主人公の女の子が美香ちゃん。その子は病弱な設定だからか弱く演じて。
そんな子を好きのなのが2人の男。
その男は君達2人ね。椿君が演じるのは綺麗系男子。まあ、ありのままの君で!
相沢君が演じるのは不器用な性格なんだけど本当は優しい男の子!みたいな感じの演技をお願い。」
3人とも頷いたのを確認して話を続ける。
「それで重要なのがこの秋原君が諦めて去っていくシーン。その時にどう悲しそうに演じるか。
この切ない三角関係を表す重要な場面だからね。
言い表せないけど、名残惜しそうに、それでもこの女の子を想う気持ちを忘れない感じで。
台本読めばわかるけど最終的にはこの女の子と相沢くんの役の子が結ばれるよ。」
視点を変えると悲しくもあり、ハッピーエンドでもあるのか…
その他いろいろなシーンの話をし、とりあえず今日は解散となった。
「お疲れ!」
「「「お疲れ様でした。」」❤︎」
監督の挨拶に3人は同じタイミングで返した。
1人だけはハートが入っていたな…
次は昨日のドラマの撮影だ。
もう行かないと。
「じゃあね!❤︎」
歩き出した途端、後ろから七瀬さんが声を出した。
お辞儀をしてから歩いた。
電車で少し移動した後、昨日の撮影を再開し、CMの撮影も撮り、今日の1日の仕事は終わった。
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