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「あっ秋原君と明弘君。先にきてたんだねー。
ははっなんかあきって名前と苗字が似てんねー。」
スタッフと監督の声で椿の意識は相沢明弘から逸れる。
名前と苗字の発音が似ているから…って
一緒にしないでほしい…
気まずいから。
「そんなことより早く撮りましょう。」
話を椿は切り替えた。
みんなも我にかえったのか準備を終わらせる。
「はい!じゃあ明弘君と秋原君と美香ちゃん撮るよー」
みんなそれぞれ場所にスタンバイする。
「いくよー 321 Action!」
__________________________
「今日の天気はいいな…気持ちがいい」
椿がつぶやきながら笑う。
「ああ、そうだな」
後ろから返事が返って来た。その役を演じているのは相沢明弘。
彼の雰囲気が一気に変わる。
「あはは、なんなの。俺たち今初めて会ったのにさ、いきなり話しかけて。ダメだろ普通。」
「いや、別に… 気が合うなと思って。俺も同じこと思ってたからな。」
相沢明弘が演技なのはわかっていても彼が笑うのをもっと見て見たいなんて思ってしまった。
でもそんなことは望まない。
やめだ演技に集中しないと。
「うーん、気が合うっていうなら…じゃあ友達になろう。」
「何それ軽いな。」
「男の友情はそんなものだって。」
椿は本当は男の友情がなんなのかも知らない。だからと言って別に本人は自分がかわいそうだとは思っていない。思い始めるときりがないからだ。
「確かに。じゃあなるか。」
彼が笑う姿を見て本当の笑顔はどうなんだろうと思った瞬間心が痛んだ。
そして演技を続ける。
「てか名前何?俺は陽だよ。永倉 陽だよ。」
「俺は草原 大河だよ。 よろしくな、陽。」
彼が頬を緩ませて笑顔を見せた瞬間、椿の世界が一瞬だけ変わった。
たとえ演技だとわかっていても、彼が笑ったのを見てちょっとだけ嬉しくなった。
って俺なんで変なことなんか考えているんだ。
集中集中。
「大河、よろしく。」
ニコッっと演技をする。
______________
そんなこんなで今日の最後の仕事へ向かった椿だったけど、運が悪く…いや偶然にもほどがあると思う。
どうやら撮影を相沢明弘と一緒にするらしい。
別にいいけど…
雑誌の特集で秋原椿&相沢明弘の「あなたはどっちを選ぶ?美形、それともクールなイケメン?」とかいう変な雑誌の特集の写真を撮るらしい。
「はーい、じゃあ撮影しますよー」
どうやら俺だけが先に撮影をされるらしい。
ペコッと一礼をしてカメラの向かう方に行く。
ポーズを指示されたり、笑顔を見せたり、淡々とこなしていく。
それでも、一番気になるのは彼の… 相沢明弘の視線だ。
興味などの眼差しではなく、明らかに嫌っているような視線。
そういう視線に慣れている椿は気にはせず、次は相沢明弘の番となった。
「じゃあ相沢さん、お願いしまーす!」
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