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「はい、すっごい勘違いをしていると思うんですけど…」
「えっあっそうなの?」
「たまたま俺が風邪をひいて倒れてしまったところを相沢さんの家に運んでくれて、だから俺が迷惑をかけている…「別に迷惑とかはないですよ。」
「あっ…ありがとうございます。」
椿は迷惑じゃないと言われちょっと心が軽くなった。本当は悪い気がしていたから…
「ありえない…俺ですらダメなのに…どうして、え。こいつ、潔癖症なのに…」
藤原さんがボソボソと独り言を言っていて椿には聞こえない。
「あの…じゃあ俺もう帰りますね。」
「大丈夫ですか?」
と相沢明弘が独り言を言っている藤原さんを無視して心配そうな顔を浮かべる。
「はい。ありがとうございます。」
もう椿の熱はだいぶ下がり、明日にはちゃんと仕事出来るぐらいにまで回復した。これも彼のおかげだと椿は感謝をしている。
「そうですか。じゃあ送っていきますよ。」
「それも大丈夫です。」
「そうですか…」
相沢明弘が藤原に対する態度を見ていると彼には心を許しているんだなと椿は思った。
「お邪魔しました。今度、お礼でもさせてください。」と言いながらにこっと笑顔を向ける。
「別に無理して笑う必要ないですよ。」
と言われ椿は驚いた。
まさか見抜かれるとは思っても見なかった。
本当の自分を見透かされるのが怖くて、演技をしていたのに。
なぜ今まで誰にも見透かされなかった演技が、わかったんだろう。
相沢明弘は優しすぎる。
嫌いな自分にもこんなふうに面倒をかけても迷惑がらず、優しくしてくれた。
たとえそれが仕事に支障が出るから熱を早く直して欲しい思いだったとしても。
少しは自惚れていいのだろうか…
彼にすごく嫌われているわけじゃないと信じても。
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