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「おはようございます。」
「おはよ〜」
監督を挨拶を交わした後今日は七瀬美香と相沢明弘が先に撮影をすることを聞かされた。
今日はデートシーンらしい。
この前、永倉陽と草原大河が喧嘩をしそのまま仲直りできずに佐藤桜とデートをするシーン。
このシーンは大河が陽に遠慮する気持ちもありながら、桜と付き合えたことを嬉しく思う場面。
本当に演技が上手いなと思いながら二人の演技を見る。
椿の中でズキンッと心が痛んだ。
なぜなのかは分からないが、ただ二人はお似合いだとどこかで納得をしている自分を否定している自分がいて悲しくなった。
涙が出そう…
病み上がりだから気が弱っていて彼らの演技に魅了されたんだと椿は自分自身に言い聞かせた。
これ以上は見ていられなく、ただ台本を読んで周りに目を向けなかった。
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「はいじゃあ次は椿くんの出番だよ。二人がデートしているところを永倉陽くんが目撃してしまい、泣いてしまう。泣く演技は苦しそうにね。」
「はい。わかりました。」
ちょうど都合がいいと椿は思った。なぜなら椿はこのまま演技すれば簡単に泣ける気がしたからだ。
「3 2 1 action!」
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「もう大河ったら!」
「悪い、悪い。」
相沢明弘と七瀬美香が仲よさそうに演技をしてそれをただ悲しそうに見つめる陽を椿は演じる。
「ほらね、二人は付き合っていてお似合いで、仲が俺よりもよくて… 二人は両思いで…」
涙がどんどん止まらなくて演技じゃないみたいだった。
「桜… 大河… 」
頬から涙が溢れる。
今、もしもこれが自分だったらと思うと椿は胸が締め付けられるように苦しい。
手をぎゅっと胸に当て握りつぶす…
「ふ、二人の前、では、わ、笑わなきゃ…ね…」
無理をして笑う陽を演じる椿は誰から見てもとてもすごい演技をしていた。
「今日で俺の恋は… 終わりだ。」
そう言いながら最後の涙を流しそしてぬぐい、歩いて行った。
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一瞬撮影現場がシンッとなり誰もが動くのを忘れていたかのような静けさ…
椿は何が起きたのか分からなくクルッと周りを見る。
「あ、秋原くん!今の演技ほんっとうに良かった〜!」
「うんうん❤︎ 心が締め付けられるような悲しさと苦しさがあって❤︎」
そっか… 良かった…
まあ本当はなぜか自分自身が悲しかったからできた演技だからですよ…
なんて言えない…
椿は自分が今までこんな風にならなかったから少し自分に驚いていた。
涙ぐんだ目でちょっと休憩させてくださいと言ってお手洗いへ言って涙ぐんだ目をどうにかしようと思った。
相沢明弘は七瀬美香と監督に引き止められていてなぜか彼の方を見てしまう。
椿はこの涙をどうにかしたくてお手洗いへ早足で向かった。
歩いていると人影が現れて、誰かと思ったら…
「あれ〜? 秋原さんじゃないですか?どうしたんですか?まさか誰か男に振られたんですかー?」
最悪な事に自分の嫌味を言ってくる人に会ってしまった。
涙ぐんだ顔を見られる。
「いえ。違いますよ。演技をしただけです。」
「え〜 残念。遊んでいるって聞いたからさ〜 目障りだからお前消えてくんない?チャラチャラあちこち行って体使ってさ〜コネとか使ってんのー?」
「使ってませ「嘘つけ。 どうせ使ってんのはわかってるんだよ。」
「もうあなたに言っても意味がないでしょうね。じゃあ失礼します。」
「待てよ。」
急に腕を掴まれ、胸倉の服を掴まれて壁に強く押し付けられた。
「っ! … はっ… 何やってん… ですかっ? 手を出すのは良くないことですよ…?」
「うるせぇよ。あー、しかしよく見ると本当に綺麗な顔しやがって、そそる顔してんじゃねぇかよ。… 俺お前の事抱くのいける気がする…そうだヤらせろよ。どうせ遊んでんだから誰でもいいんだろ?」
「嫌っです…やめてっ…ください… バカなんですか?」
相手は自分よりも力が強い。
「うっせえ!だまってヤられとけ!どうせ淫乱なんだろ?!」
やばい。ここは人が少ない場所で…
誰も通らないから助けてもらえるわけがない…
怖い… こういう荒く暴力的な雰囲気の人と関わるのは昔のトラウマが蘇ってくる。
もう声も出ずただ抵抗しようと腕を動かすけど恐怖で動かせない。
『いやっ!!やめて!』
昔の自分が頭の中で叫んでいる声が聞こえる。
そこでまたあの痛みが全身を駆け抜ける。
ズキンッ
もう身体中が脈を打つたびに記憶とともに痛みが体を支配して、痛くて痛くてしょうがなくも声が出ない…
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