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撮影を取った後、「うん、いい感じですね。」と監督からいい調子だと言われるのはいつもホッとする。
いろいろ撮り直しながらもちょくちょくと順調に進んでいると思ったら、さっきの女性がこちらを睨みつけていた。いや光岡隼人を睨みつけていた。
それで椿はやっと理解した。
この女性は彼に何かをしようとしていることに。
当然光岡隼人とはそこまで仲良くないので話せるわけがない。それに間違いだとしたら相手に失礼だ。
自分が監視しておけばいいと椿は思い光岡隼人には話さなかった。
光岡隼人が彼女に気づかない理由はみんなの目をいつも浴びていて些細な目線だけでは気づかないからだろうと椿は思った。
まあ自分もさっき彼女とぶつかっていなかったら分からなかっただろう。
「秋原さんじゃあもう一回お願いします」
「はい。」
椿は気を取り直して演技をする。
「じゃあ今日はここまで。」
と監督は満足したように言った。
「やあ椿! お疲れ様!」
と陸が飲み物を渡しながら行ってきた。
ちょっとさっきの女性が気になった椿は後ろを見た。
そしたら女性が近いので何かをするだろうと椿は察知し光岡の方へ歩いた。
「ちょっ椿!!!」
その瞬間女性が思い木材や鉄の長いパイプを倒した。
「っ、光岡さん!!」
ガラガラガッシャーン!!パリンッ…
ものすごい騒音と共に照明が真っ暗になった。
多分ケーブルも一緒に切れたのだろう。
「うわー倒れてきたー!!」
「きゃー誰か怪我は!!?」
「真っ暗だー!!」
「っつ…」
「っ…! 椿さん?」
「っはいっ…なんです…か…?」
真っ暗闇の中でも彼が無事なことがわかった。
パッと照明が照らされた瞬間椿と光岡は同時にびっくりした。
「光岡…さん…まで怪我して…何やってんですか?」
「えっと… 椿さんが来たので危ないと…でも椿さん大丈夫ですか!!?」
「気にしないで…ください。」
互いに互いをかばっていた。
「っ、…」
正直言って打ったところがすごく痛かった。今でも痛みで目がくらむほどだ。
「椿!!!大丈夫!!?光岡さんは!!?」
すぐに周りの人がいろいろ動いてくれて今の状態をなんとかしてくれた。
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とりあえず椿は痛みが酷すぎて痛み止めを飲むことにした。
なぜなら椿の体は普通の人とは違って痛みを倍に感じてしまうから。
「椿さん… すみません。」
「っ俺もすみません…」
「ちょっと椿君と光岡さん何やってんの!君のマネージャーに連絡しておいたから、病院行ってその怪我を二人ともどうにかしてきてください!」
監督が慌てた様子で厳しく言われた。
「「… はい」」
「椿さん、なんで俺を庇ったんです?」
「光岡さんこそなんで自分より俺を庇ったんですか…」
「ふっ…」っと面白そうに光岡隼人は笑った。
ったく二人で怪我したら意味がないじゃん。
ていうか右手が動かせない。
そして椿は昨日会ったばかりのチャラ医者の所へ来た。
「どうも、春日秀吉です。光岡隼人さんに秋原椿。」わざと目の前の医者は笑顔で椿と強調した。
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「はいじゃあ光岡さんは打撲何箇所か、と骨にヒビ。」
「はい。」
「まあすぐに治るよ。」
「で今度は椿! お前は何やってんだ!あれほど気をつけろと言ったのに!「わかりました。わかりました。お説教は後で聞きます。」
「お前は打撲は無かったが右腕骨折。」
「…」
だろうな。と口に出すわけではないが心の中で思った。
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「椿さん大丈夫ですか? 俺のせい「じゃないです。俺がもっと早く伝えてればよかったんです。」
「…早く言えばってことは、…いや実は俺、気付いてたんです。」
「えっ…」
「だってあの人女性の方のせいですよね。多分椿さんを狙ってたんです。」
「いや光岡さんですよ。」
「えっ…」
「椿さんですよ…」
「いや…」
と口説くてつまらない空気に陸が
「うっさい!お前たちは反省をしろ!」
いつも優しい陸が怖い。
「じゃあ俺が責任をもちます。」
「どうやって?」
「椿さんが怪我している間、俺はなんでも手伝うし、コキ使ってもいいですよ。」
「分かった。」
陸が腕を組んで首を縦にふる。
「え、 なんでそんなこと別に...」
「じゃあ俺変装をしますね。それで俺だとバレないようにします!だからお付きにでもさせてください。」
「じゃあ光岡さんよろしく!!俺は愛しの恋人に会いに行くから❤︎」
「じゃあまた〜」
「…」
ちょっと待ってくださいと光岡がカバンの中から取り出したのは眼鏡と帽子に長めの丈のジャケット。
「俺スタイルでもバレてしまう時があるので長めのきてるんです。じゃ、行きましょう。」
怪我をしても椿は仕事へ行くと言ったことで、マネージャーの陸がさっき次の撮影の監督に電話してくれた。
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「その前に聞くの忘れてたんですけどなんのドラマですか?ていうか共演者って…」
光岡の話を聞き終わる前に監督によって会話が途切れた。
「わああ!! 椿君!! 大丈夫!!?」
「はい。」
「秋原さん〜❤︎!!心配です。大丈夫ですか?❤︎」
と周りにいろいろ言われているが椿が見当たらなかったのは相沢明弘の姿。まだ来ていないのかと思ったら。
「秋原さん、大丈夫ですか?」
と優しい声で後ろから言ってきたのでつい椿はドキンとしてしまった。
「は、はい。」
つ、つい、いつもよりも高い声が出てしまった。
あっ連絡先…
「相沢さん!」
相沢明弘の後ろ姿に声かけて、彼が後ろを振り向いた瞬間手に紙をそっと渡した。
ずいぶんとくしゃくしゃになってしまったが、椿が緊張しながらも精一杯頑張った証だ。
手と手が触れ合ったところに熱を持っておりその理由は考えないようにした。
「ありがとうございます。」
とか笑いかけてくれたら更に胸が高鳴る。
いやいや何やってんだと気を取り直したら後ろから「共演者って明弘と七瀬美香さんだったんですね。」と不機嫌そうに変装した光岡隼人さんが言っていた。
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