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「秋原くんおはよう!」
朝から気さくに挨拶をしてくる監督に少し心が楽になる。
なぜなら昨日椿は相沢明弘に恋心を抱いていると自覚したからだ。
でもその恋心は叶わないことはわかっている。
多少心が痛むが彼を自分の事情に巻き込むわけにはいけないと心を椿は制御する。
「仕事には支障をきたさないから…」
と誰にも聞こえないように呟いた。
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「相沢さん❤︎」と目の前で華やかに近寄っていく七瀬美香をそっと見つめてから台本に集中をしようとするも彼女が仲がよさそうに話しかけている姿が気になって仕方がなかった。
「なんですか?」
となれたのか相沢は嫌がる様子もなく普通に返事をして話し始める彼らに少し嫉妬をしてしまう。
嫉妬という初めての感情を抱いた椿はどうしていいかわからなくなった。
お似合いだと思う自分に心のどこかでそれを否定している自分がいる。
そんなくらい感情に浸っていたら電話が鳴った。
椿はそれを手に取ると誰なのかはなんとなく予想がついた。
ピッ
『おはよ、椿!』と周りにも聞こえるぐらいの大声で椿の耳が危うく壊れかけた。
「静かにっ。」と軽く言い返してしまった。
『ははっ!悪い、』と少しボリュームを下げてまた喋り直した。
「で、なんでかけてきたんです…かけてきたの?」
『ははっ敬語が抜けると可愛いんだな❤︎』と大人の自分に対して言ってくるもんだから少し恥ずかしくなった。
「な、 人を馬鹿にしないで。」とついムキになって怒ってしまう。
『してない。で電話をしたのは今頃悲しい気分に浸っているんやないかと思ったからやな〜』とまたもや自分の気持ちを見透かされた椿は監視でもついているんじゃないかと思った。でも図星だから何も言い返せるわけがなくただ黙った。
『あーやっぱり図星か。慰めてやろうか?なーんてな!』
「じゃあ慰めて…」と少しムキになりながら彼の自分への想いを確かめるように言った。
『…、』
多分電話の向こうで驚いているんだろう。
ああ。自分は彼を好きになったとしても、大切な人を作ってはいけないはずなのにこんなことを言うのは自分はとても…
『残酷だな』
と自分の心とシンクロするように言ってきた。
「っ…はい。冗談ですよ、…、ごめんなさい…」
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