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椿は光岡の家を出たあと久しぶりに心が軽くなった。
相沢明弘への想いは消えないが…
椿は涙で少し赤くなっている目と、痛い体を無視して歩く。
「秋原さん?」
急に声をかけられて振り向かなくてもわかった。
「っ、…」
自分が想いを寄せている相手だ。
ズキンッ
胸の奥で気持ちが震える。
「あ、相沢さん…仕事の帰り…ですか?…お疲れ様です。」
「はい。」
こんなに相沢明弘の近くにいるのに触れたいのにと思ってしまう。
光岡隼人につけられた跡、と傷口が痛むように脈を打つ。
「どうしたんです、その傷跡。」
といつもよりも低い声で言われた。
バッと首や手にある痕や噛み跡を隠す。
「っ…」
相沢明弘と目が合うと目線は鋭くてなぜか怒っているように見え、全身見透かされたような気持ちになった。
「っ、痛…」
急に怪我をしていない方の手を掴まれてびっくりしていると同時にそこから熱が広がってもっと触れて欲しいと思った。
掴まれた手が締め付けられて椿は明弘を見る。
「隼人…ですか?…」
誰か聞かれても否定もできるわけがなくただ黙って俯いた。
「こんな痕をつける必要があるんですか? 」
強く腕を握られて痕を隠すことも出来ないで見られる。
痛い…
「…じ、自分がお願いした…事…なので。」
っ…苦しい。
「じゃあ隼人に…抱かれたんですか?」
ここで否定しても椿は何もないと思った。
だってどうせ嫌われるのなら優しさなんて一切いらないと。
目を瞑って口を閉ざす。
覚悟を決めたからにはとことん嫌われよう。
「っ、 否定も何もしないんですね。」
聞いたことのないくらい低い声で冷たかった。
「っ!…」
多分自分のことを気持ち悪いと思っているだろう。
だったら酷く突き放してほしい。
光岡さんといてもこんな風に感情が揺さぶられることはないのに…
本当は好きだと言われたい。
愛されたい。
自分だけを見てほしい。
「相沢さん、俺の家に来てください。」と相沢が何かを言う前に椿は腕を掴んで無理やり引っ張っていった。
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