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陸は隠れながら大きな家のどこかにいる椿を探す。
幸い、大きいおかげか、隠れる場所は多い。
「椿…何処…」
必死に大きいお屋敷の中を探す。
そしてある部屋を見つけた。
その部屋だけなぜか鍵がかかっていて陸はそこをどうにか開けようとする。
「開かない…どうしよう。」
迷っていても仕方がなく、秋原誠也に直接鍵を開けるよう交渉することに決めた。
「秋原誠也さん、陸です。椿を返してください。」
そう言いながら陸は急ぎ足で近づく。
「…ふん、良かろう。もう十分思い知っただろうからな。」
「誠也さん、これ以上椿を苦しめないでください。」
「それは無理な話だ。」
「どうしてですか?」
「あいつは俺に刃向かう。」
「っ」ふざけるななどと失礼なことなんて言えずとりあえず鍵を受け取って椿のところへ走る。
鍵をガチャリと開けると椿が床に倒れていた。
「椿!」
陸は動揺して自分の記憶が蘇る。
椿が苦しそうに息を繰り返していて、その姿が昔の記憶と重なる。
「…いや、ッ、椿、?いやっ!っお願いだからもう僕をひとりにしないで!椿!」
陸は倒れ込んでいる椿に向かって泣き叫ぶ。
椿はもう息しているのかすらわからないくらい弱っていて陸は椿が死んでしまうとパニックになっていた。
さすがにその陸の声を聞いて周りの執事達が駆けつける。
「どうなさいましたか…?!つ、椿様!陸様も!?」
「椿様!!?おい!医者は!!?」
「今さっきおかえりになられたので病院へ!」
陸はみんなが騒いでいるのを無視して混乱しながら泣く。
周りの音が何も聞こえないくらい陸は泣き叫んだ。
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