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「秋原さん。」
床に跪いて落ち着いた声で囁く。
拓海が昨日焦っていた様子を見てやっぱりなんとなく嫌な予感がしてた。
「っ…」
苦しそうな表情をしている椿に対して自分が変わってあげればと強く思う。
相沢はそっと手を包んだ。
相沢の手にはまだ椿の噛み跡が残っていて動かせば痛いのに苦ではなかった。
椿が痛そうに動いて、触れていた手を離そうとしたら意識はないのに弱々しく握り返してきた。
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時間がしばらくたって陸はそのまま残って、拓海は急用の仕事のため帰った。
陸は静かに部屋に入る。
「相沢さん…」
彼は椿のそばで本を読んでいる彼はテレビや雑誌で見るよりもずっとかっこいい。
「香川さん…秋原さんがこうなったのは秋原誠也…さんが原因ですか。」
相沢明弘の言葉に頷いて爆発しそうな怒りに耐えながら口を開く。
「…椿は秋原誠也さんに少し反発しただけ、それなのに躾とか言って薬を打ったらしいです。
春日さんっていう椿の担当医が言っていたんですけど、…椿はあまりの痛さに意識を手放すために打たれた他に自分でさらに打ってはいけない量を使ったのだろうと言っていました。床にその形跡が残っていたからそうだろうって…」
「…秋原さんが秋原誠也さんの気に障った理由は…俺に、あるんじゃないですか?」
「えっ…」
陸ははっきりと状況が理解しきれていなくて無責任に言えるわけなく、黙る。
「やっぱり。」
陸の無言を肯定だと受け取る。
「違う!そんなんじゃない。」
「…」
陸は相沢を必死に目で違うと伝える。
陸の気持ちを思ってか、相沢明弘は頷く。
「そういえば香川さんも大丈夫ですか?倒れられたんですよね。」
「…はい、でも大丈夫です。椿の痛みなんかに比べたら俺なんて…「そんなわけないじゃないですか。秋原さんがそれを聞いたらきっと怒りますよ。」
確かに、椿が今のを聞いていたらきっと傷ついていた。
「…そうですね。」
弱気になっているなんて自分らしくないのはわかっているけど陸にとって椿は大切な存在だ。
「失礼します。担当医の春日です。」
ノックの音が響いてからドアがゆっくり空いて春日が入って来た。
「椿…、じゃなくて、秋原さんの容体はどうですか?」
「特に大丈夫…」
と陸が答える。
陸の言葉を聞いてから椿を見て頷いた瞬間、相沢明弘を瞬きしながら見つめる。
「…ってもしかして相沢明弘!!?うわぁーっ、凄い!」
春日がまたチャラさを取り戻して目をキラキラさせる。
「はい…そうですけど。」
「リアルで見ると更にかっこいいわー」
「コラー!何やってんの?」
陸は春日の様子に怒る。
「まあまあ別にいいじゃん。そっか同じ仕事だから椿の見舞いに来てるわけね。」
「相沢さん、この人チャラいですけど一応腕は優秀なので見逃してあげてください。チャラいですけど」
ワザとチャラいと強調する陸に春日は「俺の事優秀って思っててくれたんだありがと〜」
なんて気軽に返す。
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