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「はぁはぁ…なんとか、逃げ切れたな…」
「本当にすみません…俺のせいで…」
「いや、むしろ俺としてはラッキー」
「なんで?」
「秘密。」
二人は人気がない場所で静かに身をひそめる。
「ここなら見つからないと思う。」
「そうですね…」
人気のない静かな自然に囲まれた場所で黙っていた。
椿は目を瞑って木が風で揺れる音と遠くからまだ自分たちを探している声が聞こえる。
でもここなら見つからないかな…
「椿…」
光岡がそう呼んだからなんだろうと振り向こうとしたら後ろから強く抱きしめられて振り向けないようにされた。
「!、…、」
そう言えば光岡の上に乗っかったままで重いだろうから動こうとしたら
「どうし…「このまま聞いて。」
そう光岡が言ったから動くのをやめ、
椿はわかったと言うように頷く。
…
「はぁ…椿が無事でよかった…
ほんまは俺、結構焦っとった。
椿が倒れたって聞いて、たまらんほど秋原誠也さんに怒りが湧いた。
すっごい心配した…
せやけどちゃんとここにおるからよかった。」
後ろから光岡の安心した声が聞こえる。
…
心配していてくれたんだ…
「俺、他の人よりも誰かを失うのが怖くてな。
話少し長くなるけど、あのな俺…実は家出してきた身なんや。
家から出て外国から日本へ来て、やってみたかった演技ができるようになった。
知っとる通り俺は外国人と日本人のハーフ。
家は厳しくて、毎日が教育とかもう嫌やった。せやけど唯一心の支えは祖母で彼女は日本人。
自分の父も日本人なんや。
その他みんなはイギリス人。
で俺は家が厳しすぎてそないな自由のない世界は嫌やから日本へ来て、自分の夢を叶えた。
せやけど祖母が亡くなったときは悲しかったよ。
誰かを亡くすのは悲しい。
大切な人やったら尚更。
せやからお前はいなくならへんで…」
いつから自分の周りにはこんな風に心配してくれる人がいたんだろう。
隼人の声が震えている。
「…なんで…この話を?」
「それは椿に俺のこと知って欲しかったからや。だって俺だけお前の家のこと聞いといて、自分のことを教えないなんてなんか卑怯やろ?だから話した。それだけや。」
彼が自分に離した理由がまっすぐだ。
「…。」
「…あっ、そう言えばさっきもしかしたら写真撮られてたかも知れへん。」
「写真?」
「ああ、あの3人のグループの一人が携帯で撮ってたきが…。」
「写真…」
「まあ大した事はないけどな。」
「はい。」
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