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1、再開
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~中也Side~
「はぁっ…、仕事も楽じゃねぇなぁ…」
暗いポートマフィアの廊下を歩く。途中でよろけるも、なんとか体勢を立て直す。
俺、中原中也は連日の任務に疲れ切っていた。早く寝たい。その思いだけでいつもはしなくてはいけない首領への任務報告をしないまま自室へと向かっていた。時間が経ち、色が変色した返り血の外套を靡かせ乍廊下を歩き進める。
「か………何処……自殺…なぁ…」
ふと気づくと奥から誰かの足音とともに声が聞こえてきた。次第に話し声が聞き取りやすくなり、角で黙って立っていると、「自殺」という言葉に肩を震わせた。
「…、あ」
角から来た相手と全く同じ声を出し、俺はそいつの顔に唖然とした。目の前に立っている人物は、かつてポートマフィアの最年少幹部、そして俺の元相棒の太宰治だった。
「…はぁ、だから嫌な予感がしたんだ…。」
目の前ではぁ、とため息をつく相手を横目に帽子を押さえつけ、下を向けば、”それはこっちのセリフだ、馬鹿”と今日一番の溜め息を付き乍ら喋る。
何故か此奴と雑談する話になってはいるが、このまま放って置くわけにもいかず、4、5年前同様、肩を並べ歩いている。なんか、懐かしい…、いやいや、そんなことはない。此奴とのなんか、何も覚えちゃいねぇ。
「あーあ、なんで依りに依って中也なんだろ…首領とか芥川君がよかったなぁー…」
「んなの、しったこっちゃねーよ、阿呆が」
魂が抜けていくような声で言えば、俺は”さっさと帰れ”と無視を追い払うかのように手を振る。すると彼奴は、”えーヤだよ”と駄々を捏ねる。なんだ此奴。
「すごい暇。さっき中也の車に爆弾仕掛けてきたけどまだ暇なのだよ…」
「な…手前ふっざけんっ…!?」
欠伸をしながらへらへらとしている太宰に目を大きく見開き怒鳴りつける。その瞬間、目の前の世界が大きく揺らいだ。少し足元をふらつかせる。今度は上手く体制が整えることができず、地面に叩きつけられた……筈だった。
「あれぇ?中也お疲れだねぇ。ふらっふらじゃないか」
俺は、太宰の胸元に倒れこんでいた。
「はぁ…今のうちに返り討ちにするのも悪くないけど私は其処まで鬼ではないからねぇ…」
と、そのまま俺を軽く抱き上げた。
「は、はぁ!?ちょ、手前!さっさと下ろせ!」
背後で怒鳴りつつも、最低限の抵抗と、暴れると体力が限界に近いのにこれ以上は、とギャーギャーと騒ぐ。
「ちょっと…運んであげてるんだから、静かにしてくれないかなぁ?」
「誰も頼んでなんかねぇけどな」
とぶつぶつと耳元で喋る。”小さいのが歩いていると邪魔なのだよね”と馬鹿にした喋り方をする太宰を今直ぐにでも殺したいという俺の思いを否定する奴は100%いないと思う。
「いちいちうるせぇんだよ!さっさと下ろせ馬鹿!」
と再度耳元で喚く。
「いやー、まったく子供の用にぎゃーぎゃーと…、それに、私の方が戦略も考えられるし頭の切れも中也より絶対に良いー。」
言葉をずらずらと並べる太宰の方が子供だろ、と内心思うも、それ以上に此奴より馬鹿という言葉が聞き捨てならねぇ。
「んなことはねぇ、俺だって戦略ぐらい考えられる」
と吐き捨てる。内心、太宰の戦略は外れたことがないが、と付け足すもそれを口には出さずにぐっと飲みこんで。
「てか、お前いつ帰るんだ?」
「いやぁ…、私も帰りたい気持ちは山々なんだけどね?探偵社に行くと国木田君が煩くてねぇ…」
…俺には関係ねぇけどな…。
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