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届かぬ声①
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「もう、そんな酷いことをするのは…………やめて……知花…………」
「…………目を覚ましたのかい……想太くん?」
知花が、檻の中でオークから受ける屈辱に涙を流すシリカを満足げに見つめていると、ふいに、か細い声で目を覚ました想太が切なげに知花へと言ってくる。
「そんな酷い事をしても…………何もならないよ。お願いだから、シリカって子を……………助けてあげて………」
「……この世界の王族じゃない、よそ者の想太くんには……関係ないだろう?そもそも、君はただの人質。優太くんの双子の兄だから危害を加えていないだけなんだから黙っていてくれない?」
その知花の、素っ気ない言葉を聞いた想太は、みるみるうちに悲しげに顔を歪めると、抑えきれずに目から涙を溢れさせて知花をジッと見つめる。
「…………知花………どうして、ボクの声を聞いてくれないの?どうして、優太じゃなくて、ボクを…………見てくれないの?」
「………………っ!?」
すると、今まで余裕綽々な態度をとっていた知花が、シリカと想太を連れ去ってきてから初めて、動揺したような顔つきになり、困惑した様子で想太をジッと見返す。
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