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酒場の真実①
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「…………もったいぶらずに、さっさと話せ。お前たちに拒否権はない。」
「…………分かった。そんなに知りたいなら
教えてあげるよ。でも、その前に……この物騒な弓をしまって。そうしなきゃ、ワタシは絶対に話さない!!」
サンがティーナに弓を向けたまま、冷静な口調で強く言い放ったが、ティーナは、たじろぎもせず、何かを決意したのか強い口調でサンへと言い放つ。
その、ティーナの強い剣幕に圧倒されたのか、サンがティーナの方に向けられていた弓を下ろしてから、悔しそうな表情を浮かべつつも、渋々、弓を背負う。
「じゃあ、約束通り……この酒場の秘密について話すね。まず、そこの怖いエルフのお兄さんが言っていた、ワタシが作ったお酒に入れてた毒々しい色の液体のことだけど………」
「あれは、正に毒。でも、ただの毒じゃなくて……ノルマンさんや、貴方たちにとっては毒になるの。あ、因みにワタシやウィリアムにとっても毒になるのよ。だから、貴方たちにはオススメしなかったの。でも、そこにいて眠っている冒険者の人達には、毒にはならない。」
「それで、これが一番大事な秘密なんだけど……この酒場にいるワタシや、ノルマンさんや、貴方たちや、そこにいるウィリアム以外の人達は全て………すでに、死んでいて、この世には存在しない筈の人たちなの。」
僕らは、ティーナの告白を聞いて、唖然としてしまう。ティーナが作っていた酒の事はともかく、眠っている冒険者達が死者だとは、とても思えないからだ。
「ーーーー《アンデッド》。すでに、死んでいる筈なのに、それを受け入れきれず、生に執着する者たち。自分たちの死を受け入れきれていないから、何度もこの酒場に足を踏み入れるし、何度も同じ会話を繰り返すのよ。皆……生前も、この酒場に入り浸っていて、この酒場を大好きだって言ってくれていた人たち。」
「貴方たちが、この酒場に来た時に、青白い光が出てて、どうにかしてくれって
ギルドの依頼書に書かれていたって話をしてた人がいたでしょ?あれは、実はもうとっくに解決済なの。でも、話をしてた本人は、その青白い光の退治をしに行った時に、死んでしまったから……自分が行った後から、誰かが青白い光を退治したって気づけないの。」
「………今、ここで眠っている冒険者の人達は、本来なら……この酒場の近くにある墓場で安らかに眠っているべき存在なのよ。」
ティーナは、目に涙を浮かべながら悲痛そうに僕らへと話してくれる。
そのティーナの告白を聞きながら、僕はこの酒場に来る前に、沢山の墓石があった墓場を通った事を思い出したのだった。
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