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小鳥のさえずりが聞こえ、シエルはパチッと目を開いた。
大きな窓からはたくさんの陽の光が入り、部屋の真ん中にあるこの大きなベッドにまでも光が届き、シエルは嬉しさのあまり目尻に涙を溜めながらベッドに顔を埋めた。
しばらくしてシエルは自分の体を見て「ん?」と疑問を持った。
「綺麗になってる……」
昨日アルベールに抱き潰されてドロドロだったはずの自分の体が綺麗になっているのだ。
また奴隷に体を舐めて綺麗にされたのだろうか。
シエルは奴隷に行われるあの行為がかなり苦手で、自分が意識のないところでよかったとフッと息を吐いた。
部屋の扉がコンコンとノックされ、アルベールはノックしないために奴隷だとわかったシエルは小さい声であるが「はい」と返事した。
「シエル様、ご朝食をお持ちいたしました」
「ありがとうございます…」
お盆には今日も湯気のたったタマゴ粥とレンゲが置いてあるが、手を自由に使えないシエルはいつも食べずに寝ているのだ。
今日も食べられないな…、とベッドに寝転がると、食事を持ってきた奴隷は静かに言葉を発した。
「シエル様は幸せでらっしゃいますね…」
「え…?」
同じ奴隷である自分を羨ましそうに見つめる女に、シエルは目をキョトンとさせた。
「アルベール様はシエル様をとても気にかけてらっしゃいます。大切にされておられるんだと見ていてわかります」
「で…、でも僕、ずっと抱かれているだけだし…」
「私たちは名前も呼んでもらったことはないですし、ご飯だって与えられない。与えられるのは城の兵士たちが持ってきた生ゴミだけ。全てを飲み込むまでその地獄の時間は続くのです。奴隷がアルベール様に使われるなんて本当に稀で、普段はこの城の兵士や使用人に酷い行為を強いられているだけなんです。ましてやアルベール様の性奴隷なんて今までにいませんでした。だから私、シエル様の食事係でも、アルベール様の命を受けられるだけで驚いたんですよ。」
今までアルベールが奴隷を使っているところをたくさん見てきたシエルにはその言葉が信じられず、自分以外の奴隷が兵士や使用人に使われているなど初めて知って、アルベール以外との接触のない自分の立場に驚いた。
アルベールは自分のことを他の使用人たちに話していないのだろうか。
シエルは自分も見つかってしまったら他の奴隷のようにストレスの捌け口にされてしまうのではないかと体を震わせた。
「あ…、あの、お粥食べてもいいですよ?」
シエルが恐る恐る声をかけると、奴隷は首を振って一歩後ろへ下がった。
「バレてしまったら大変ですので…。私は遠慮させていただきます……」
「そっか……。」
「シエル様もきちんとお食事召し上がってくださいね。失礼いたしました」
奴隷は扉を開ける前に深く頭を下げてから部屋を出ていった。
先ほどの話を聞いて、自分は随分と恵まれていることを知らされたシエルは、与えられた食事も食べないなんて贅沢を言える身分ではないなと、誰もいないことを確認してからお皿にそっと顔を近づけて舌を伸ばした。
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