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7話 -隣の国の王子様-
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シエルが目を覚ますと、そこはふかふかのベッドの上で、ご丁寧にシルク素材のネグリジェまで着せられていた。
辺りは白を基調としたヨーロピアン調の家具や壁紙でまとめられていて、かつて自分が住んでいた部屋と似ていることに懐かしさを覚えた。
「シエル、起きたの?ごめんね、うなされていたから医者に診てもらって、少しの間落ち着くように注射してもらったんだ」
扉を開けて入ってきたのは、優しい口調で話すエルヴィドだった。
「アル様は……?」
恐る恐るシエルが口を開くと、エルヴィドは少し不満そうな表情で答えを返した。
「ヴィクトリアならあのまま置いてきたよ。俺は君を助け出すのが目的だったからね。使用人が医者にでも連絡して助かってるんじゃない?」
「よ……かった………」
「シエルは変わってるね。あんな酷い仕打ちを受けて、どうしてそんな心配してるの?寧ろあのまま死ねばいいって思わない?」
エルヴィドはストンっとソファに腰掛けて、シエルを穴が開くほどに見つめた。
「な…に……?」
「いや、ほんっとに綺麗だなって」
「………目?」
「全部。そのキラキラしてる大きな瞳も、サラサラで上質な髪も、透き通るような声も、華奢な体つきも、全てが綺麗だ」
シエルはそんなに直接的に褒められたのは記憶にある上では初めてで、恥ずかしくてエルヴィドから目を逸らして顔を赤らめた。
そして話題を変えようと、自分から話を切り出した。
「ここ、僕の家みたい……」
「君の?……ってことは、ランベリクが所有してた城ってことかな?」
「うん…。母様がヨーロピアン調の家具が好きだったから……」
「そうなんだ。君を生んだ女性なら、さぞ美しい方だったんだろうね。噂には聞いていたけど、一度も会ったことはなかったな」
「母様に会いたいな…」
「俺も可能なら是非一度お会いしてみたいよ。そういえば父さんが君の母親の写真を持っていた。君に渡しておくよ」
エルヴィドは泣きそうなシエルの感情を察したのか、そっとベッドサイドに写真を置いて部屋を出て行った。
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