アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
.
-
エルヴィドがいなくなり、シン…と静けさが広がる。
中庭に面した大きなガラス戸から太陽の光が降り注ぎ、シエルがそちらに目を向けると、庭に小鳥やリス、野うさぎなどの小動物が気持ちよさそうに眠っていた。
シエルは癒される風景に微笑んで、中庭へと続く扉に手をかけた。
シエルが庭に出ると、動物たちは逃げるどころか嬉しそうにシエルに寄ってきた。
「わぁ〜!可愛い……!僕、ここに座ってもいい?」
シエルがそう聞くと、動物たちはシエルのためにふわふわの綿をたくさん芝の上に集めた。
シエルは「ありがとう」とお礼を言ってその上に腰を下ろし、幸せな気分で歌い始めた。
澄んだ高音のシエルの歌声に、小鳥たちはリズムに合わせるように鳴き、うさぎやリスは楽しそうに踊った。
しかし、楽しそうにシエルの周りを回っていた動物たちは突然ビクッと震えて逃げ出した。
何事かと思いシエルが顔を上げると、そこには愛らしくて美しい一人の女が立っていた。
女の瞳は明らかに憎悪を含んでおり、シエルは何とも言えぬ不安に困惑した。
「綺麗な歌声なのね、シエル=ランベリク」
「あ………あなたは誰ですか………?」
シエルが震えた声で尋ねると、女はクスクスと笑いながら、シエルの前にしゃがみこんだ。
「そんな怖がらないでよ。アルベールから聞いてないの?私はアルベールの婚約者のミリィ=シャーロットよ。今日はあなたにお話があって来たの」
「こ……んやく…しゃ………?」
「あはは!そんなことも知らなかったの?一国の王なのに婚約者がいないわけないじゃない!考えたらわかることなのにぃ〜?お馬鹿さんなのね」
うふふと楽しそうに笑うミリィとは対照的に、シエルは泣きそうな顔でミリィを見上げた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
66 / 280