アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
.
-
マリアさんをどうにか元気にできないかと思って、俺はマリアさんの手を握った。
「俺がシエルのこと守る!幸せにしてあげる!だからマリアさんは安心して!」
まだ子どもだった俺ができるのはそれくらいだった。
でも、俺のそんな言葉でマリアさんは嬉しそうに俺を抱きしめ、「ありがとう」と、そう言ってくれた。
そのとき強く思ったんだ。
俺は母親としてこの人を求めているんじゃない。
一人の女性として好きになってしまったのだと。
自分の気持ちをマリアさんに伝えたくて、マリアさんの唇にチュッとキスをした。
まぁ、ただの子どもの戯れだと軽く笑って流されてしまったが……。
「ありがとう、エルヴィド君。シエルもすごく喜ぶと思うわ。この子こそちゃんと守り抜かないと………」
俺はふと、マリアさんの言葉に違和感を抱いた。
この子こそって………?
「マリアさんにはもう一人子どもがいたの?」
「えぇ。エルヴィド君が6歳だから、生きていたらあの子は今7歳かしら……。1年前に誘拐されてしまって見つかっていないわ…」
「どうして?メジエール国はシエルが第一子だって聞いたよ?」
「…………夫がね、隠したいと言っていて…。お城の外にも出してあげたことなかったわ。あの子に空を見せてあげることもできずに、あの子は今どうしているのかしら。どこかで生きているのかな……?会いたいよ、アベル………」
マリアさんはポロポロと涙を流した。
大切な息子を失ったんだ。
悲しいに決まっている。
その後も、マリアさんは愛おしそうにその息子の話を俺に話してくれた。
結局パーティーは16時にお開きになり、マリアさん達はメジエールへと帰っていった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
73 / 280