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エルヴィドはいつのまにか眠っていて、遠い昔の夢を見ていた。
やはりシエルにとっての幸せを優先してやることが、自分が唯一してやれる事だと決意して目を開けると、目の前にパチクリとした大きな瞳がこちらを見つめていた。
「シエル…っ!起きてたの?!」
「エル…………。どうして、泣いてるの……?」
「え……?」
自分が泣いていることに気付かされたエルヴィドは、驚いて顔を拭うが、溢れてくる涙を止めることはできなかった。
シエルは心配そうな顔でエルヴィドの顔を覗き込み、人差し指でエルヴィドの涙を掬った。
思えば、ここ数日で見てきたシエルの喜怒哀楽、全てがマリアに似ているなと、エルヴィドは泣きながらシエルに微笑んだ。
「やっぱり君も、君の母親も、俺にとっては美しくて儚い……、手の届かない存在なのかな……」
「僕と………、母様………?」
シエルの不思議そうな顔にエルヴィドは可愛いと瞼にキスを落とした。
「ごめんね、シエル。本当は君の母親に一度会ったことがあるんだ。嘘をついてごめん……」
「そうなんだ…。母様、綺麗な人でしょう?」
「あぁ。とても…………、とても美しい女性だったよ…」
はらりはらりと涙を流すエルヴィドを、シエルは優しく胸の中に抱きしめた。
エルヴィドは長年押し込めてきた感情を、涙に変えて全て心の外に溢れさせた。
シエルはエルヴィドの涙が止まるまで、一晩中ずっと抱きしめ続けたのだった。
***
補足です
イラストを描いてくださった黒祖様、みゅん様ありがとうございます(^^)
お二人が描いてくださったイラストの瞳の色は左目が紅、右目が翠となっていますが、私が考えてる設定上は左目が翠、右目が紅なので、これからイラスト描くことを検討してくださっている方はこちらでお願いします(><)
特に物語に影響することはないのですが、ただの作者のこだわりです(⌒-⌒; )
お二人のイラストはそのままで結構です!
本当に嬉しかったです(^^)♡ありがとうございました!
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