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「終わったなぁ!帰ろう~」
奏が大きな背伸びをしてふわふわとした笑顔を向ける。なんというか、癒される?みたいな、こっちまで笑顔になるからすげーって思う。
「うし、帰んぞ!!モックでも行くか!あ、陸千香ちゃんと会うんだよな?」
「あぁ、二人で行ってこいよ」
「んじゃりっちゃんが千香ちゃんとラブラブしてる間圭ちゃんとラブラブしてるー!」
そう言って奏が俺に抱きついてきた。少し勢いがあったみたいで体が後ろによろけてしまった。と同時にどんとぶつかった音がして後ろを振り返った。
「あ、わり…」
「…………チッ」
そこには小日向がいて、今日何度も見たであろう鋭い睨みをずっと俺にきかせ最後に舌打ちをして教室を出ていった。
「あ、り、え、ねぇ!!」
あの後小日向に文句でも言ってやろうと後を追いかけようとしたが二人に止められ一旦落ち着こうとモックへとやってきた。けれど時間が経つほどふつふつと怒りが込み上げてくる。
「ごめんねぇ俺が抱きついたりしたから…」
「いや奏は何も悪くねぇよ?にしてもあいつ!まだ睨むとかまぁギリ許せるけどよ、舌打ちはねぇ!!」
「まぁとりあえず落ち着けって。あいつだって悪気があったわけじゃないと思うぞ」
「悪気なかったら舌打ちなんかしねぇよ!陸はあいつの味方なのかよ~」
俺の隣でしょぼんとしてる奏に釣られるように俺もしょぼんとなる。
「いや味方っていうか…俺一年時あいつと同じクラスだったんだよ」
「…へ?」
「仲良かったわけじゃないけど普通に喋ったこともあるし、それにあいつ真面目だしな」
「…陸君?あいつのどこが真面目なんだい?」
「ははっ、まぁ見た目じゃそう見えないよな」
「つーか陸と同じクラスだったのか……ん?」
そういえば一年の時、陸のクラスに遊びに行った時にやたら睨んでくるやつがいたような…ま、まさか…!!
「お、思い出したぁ!!小日向だったんだよ!どうりでデジャヴなわけだわ…」
「何がデジャヴなの?圭ちゃん」
「陸のクラス遊び行った時睨んでくるやついんなー思ってたんだけどさ、それ小日向だったんだよ!」
「そうだったんだ~んーでも俺特に睨まれるとかなかったなぁ」
「え、まじ?…俺だけ?」
「圭ちゃんなんかしたのー?」
あはは!と笑う奏をよそに俺は一生懸命考えた。まず第一あいつと喋ったことがない。睨んでくる度なんなんだと思う事はあってもただそれだけだ。まったくもって思い当たる節がない。
「…最悪だ」
ヤンキーに目をつけられるなんて。
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