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嬉しい
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「まぁあれだ、その…庇ってくれてありがと、な」
「別に…たまたま俺があそこにいただけだ」
嘘つけ、小日向少し離れたとこいたじゃん。
まぁただの照れ隠しなんだろうけど、ほんと素直じゃねぇな。
「それで…本当にごめん!!三年のやつらに絡まれた時もあんな事いってほんと悪いって思ってる…」
「「俺達もごめん!!」」
「平気だから顔上げてくれ」
そう言われて頭を下げていた橋本達は顔を上げ、橋本が小日向に近づくとスッと手を差し出した。
「これからはクラスメイトとして…よろしくな」
「…あぁ」
「俺も俺も!」
「よろしくなー小日向!」
三人は小日向と握手を交わすと先に教室に戻っていった。
「よかったな仲良くなれて…って、どした?」
小日向はじっと自分の手のひらを見つめていた。
「なんか手が変な感じする…あとなんかこう…この辺がムズムズする」
きょとんした様子で自分の心臓辺りを擦っていた。
「…それってさ、嬉しいって事なんじゃん?」
「嬉しい?」
「なんつーかこうじわじわくるというか、なんか温かいもんがこう奥からくるというか、ん~うまく言えないけど!」
「そうか…嬉しい、か…」
「てか俺も今すげー嬉しい。ああやって小日向の事分かってくれてさ、誇らしいっていうか…うぉ?!」
腕を引っ張られるとそのまま小日向に抱きしめられ恥ずかしさに顔が熱くなる。
「こ、小日向?」
「お前がいてくれてよかった…ありがとう」
「なっ…べ、別に俺何もしてねーよ?てかそろそろ俺達も教室戻ろうぜ!」
少し強引に小日向から離れて俺はドアの方に向かった。
ありがとう。背中から聞こえた小日向の声が聞いたことない優しい声をしていて、一気に身体が熱くなって、そして泣きそうになった。
こんな俺でも少しでも小日向の役に立てたのか、と。
教室に戻ると、やたら騒がしいクラスの連中と教卓で頭を抱えるナカセンの姿があった。
「え、何?なんかあったん?」
「あぁそっかお前らいなかったもんな。俺達全種目優勝したんだよ」
「…マジ?」
教室からは焼肉コールが響き渡っていた。
「おい…ざけんなマジで全部優勝するやつがあるか?つかそこは空気読んで負けろや…あほか?あほなんだな?」
とても教師とは思えない発言を聞くあたり本当に全種目優勝すると思ってなかったらしい。
毎回思うけどなんで教師になったんだろこの人…。
「ナカセン、まさか自分の言ったこと忘れたとかないですよね…?」
「男に二言はないっていうし…」
「まさか自分の発言に責任持てないなんてことないっすよね?教師なんだから…」
「あ?俺は教師だぞ?なめんなよガキ共。焼肉でも何でもこいやこのクソったれがぁ!!!!」
こうして、まんまと皆の挑発に乗ったナカセンの奢りでクラス皆で焼肉に行くことが決まったのであった。
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