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俺だけの
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それから一週間後の土曜日の夜、焼肉屋に集合した俺達は団体客用の大きな和室に案内された。
そして各々好きな場所に座ったところでクラスの一人が口を開いた。
「皆球技大会お疲れさん!そんで全種目優勝おめでとう!!」
「なんだよお前が仕切りかよ~」
「うっせ!まぁあとは我らがナカセンの挨拶があっから!」
よっ!ナカセンやらナカセン言ったれ!とか皆が騒ぐ中ナカセンがゴホンとわざとらしく咳き込むと周りが静かになった。
「えーまずは球技大会おめでとう。皆の頑張りを祝福して今日は俺の奢りです。食べ放題なので好きなだけ食べてください。そして最後に、元取れなかったら課題のプリントな。はい、楽しく食べましょう」
「皆死ぬ気で食えよ!!」
それからは各々注文した肉を食べながら談笑したりしていた。
「小日向って今までどんぐらい告られた?」
「やっぱ彼女いんの?」
「胸はでかい方がいいよな?!」
球技大会で打ち解けたサッカーのメンバー達に、最初その光景を不思議そうに見ていた周りの奴らも加わって俺の横で小日向は質問攻めにあっていた。
「彼女はいない。告白は…そんなされてない」
「あるんだ…」
「なぁなぁ、エッチしたことある?」
その質問で一気に周りがざわめいてジッとその答えを待っていた。
小日向は気まずそうに目を逸らしたまま黙ったままだった。
黙ったままってことはやっぱ…。
「あ、俺ちょっとトイレ!」
小日向の答えを聞くのが嫌で俺はその場から逃げるようにトイレへと向かった。
トイレの中に入り洗面台に両手をついて深いため息をついた。
過去にどんな子と付き合ったとかそんなの気にしたってしょうがないのは分かってるし、そりゃ気にはなるけど今は俺と付き合ってるわけで。
その…エッチだってしたことあるだろうし別に俺には関係ないことなんだし…。
ただ、たまに見せる笑った顔とか、優しく呼ぶ声とか、俺に触れる手とか、そういうのを今までにも他の子にもって思うとなんか嫌だな…。
つか、俺ってこんなに女々しかったっけ…?
「柏木」
名前を呼ばれて振り向くと扉の前に小日向が立っていた。
「小日向…どした?て、便所以外ねーよな」
はは、と小さく笑うと小日向は表情を変えないまま近づいてきた。
「ないからな、したこと」
「え?」
「…お前が初めてだから」
「ばっ…そんなの気にしてねーって!てか、んな事言いにわざわざ…」
「お前さっき泣きそうな顔してたから」
優しく抱きしめられて小日向の匂いがする。
ばかやろう、ほんとに泣きそうになるだろうが…。
小日向の匂いも、抱きしめてくれる温もりも、全部俺のにしたいって思うんだ。
こんなこと言ったら、重いとか言われっかな…?
「今日泊まってけ。…一緒にいたい」
「…うん、俺も一緒にいたい」
そしてどちらともなく触れるだけのキスをした。
好きだ。できることならずっと一緒にいたい。
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