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1-4 また、明日
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「あ、わりぃね、かなちゃん」
「席、もどろーぜ」
「すんませーん」
俺には、嘲笑。
教師には、形ばかり頭を下げて。
次々自分の席に戻っていく、取り巻き三人。
「ごめんな、煩くて」
後ろを振り向き、頭を下げる菊川。
サラサラと流れる前髪と。
人懐っこい垂れ目。
躊躇いがちに微笑む唇。
コイツの両隣から後ろにいる、女子も男子も関係なく。
息を飲んだのがわかる。
菊川の視界に入る自分を意識して。
髪型や服装を整える者。
菊川の正面姿を視界に入れようと。
自席から身を乗り出す者。
この教室には、こいつのフェロモンが広く浸透している。
ここは、菊川のマーキングの内側。
他のαと違い、薄く最低限にコントロールされた支配の場。
α特有のマウンティングは。
αには、その頂点にいるのが自分であること。
βには、問答無用に服従を。
Ωには、安住を約束する。
俺は、視線をわざと逸らし。
無言で前を見ろと顎で示す。
こいつが振り向いたせいか、俺の周りのフェロモンが揺らいだ。
他のαと違い、屈服させるような圧迫感はないが息苦しい。
どうあっても、敵わない自分を晒されて落ち着かない。
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