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2-4 幸せにしたい side 倭人
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「皆、下がって」
兄貴は、父さんの様子に溜息をつき。
さっと右手を上げ、この部屋にいた使用人に退出を命じる。
トーンを抑え、わざと弱弱しく聞こえるように調整している。
そんなことしなくても、フェロモン調整で無言でも指示できるのに。
徹底した偽装ぶり。
「ハルは、ここに残って」
隣の遙馬さんに身体を傾け、低く甘い声でお願いしているのとはえらい違いだ。
相変わらず、兄貴は番の遙馬さんにメロメロだ。
その様子を見て、父さんの表情も和らぐ。
Ωに産まれ苦労してきた父さんは、番の仲睦まじさが大好物。
浮気性のαが多い中、遙馬さん一筋の兄貴はお気に入りだ。
御飯を食べるように進めている二人のやり取りに、機嫌も良くなる。
「お前ら見てると癒されるわ~」
さっきまでの苛立ちも消えたらしい。
部屋の隅に置かれた給仕ワゴンから、ティーポットを持ってくると。
空になっていた俺や兄貴のティーカップにまで注ぎ足してくれた。
「ハルちゃん、温めてきてやろうか?」
遙馬さんのすっかり冷えた朝食にまで気を利かせる。
「だ、大丈夫ですよ」
そこまで言われて、ようやく遙馬さんはフォークとナイフを手に取った。
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