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2-7 幸せにしたい side 倭人
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「強制的に番になったとしても、家が決めた相手なら解除もさせない。
陽太さんが心配することにはならないさ」
「まぁ、解除は確かにさせないだろうな。
飛鳥には、今は好きな相手はいないんだっけ?
澪には、その番相手を好きになれば問題ないって押し切られた。
番同士の身体の結びつきは特別だからな」
「え、でも、姉貴には好・・・イッ!」
机の下で、突然足の脛を蹴られ悲鳴を呑み込む。
蹴った相手、兄貴を睨めば、「アホか。黙れ。蹴り殺すぞ」突き刺さる視線に白旗。
相手を押さえ込む攻撃的なαフェロモンの睨み。
いつも偽装しているくせに、兄貴のα気質は健在。
「ん?
なんか言ったか、倭人?」
「な、なんでも・・・ナイ」
まだ痛む脛をさすりながら、全然気付いてない父さんに応える。
一瞬の威嚇で、俺の全てを制圧してくる兄貴のフェロモン。
偽装が上手くなりすぎて、的以外の周囲には気取らせない。
その分、濃厚なフェロモンにやられた相手は、自分は敗者なんだと叩きのめされ暫く息を吸うのも辛く感じる。
「ハル、もういいのか?」
「うん、十分いただいたよ」
「もう少し食べた方がいいんじゃないか?」
「これ以上食べたら、動けなくなるよ」
「俺が運ぶから問題ない」
「そ、そんなことさせられないよ!」
隣でイチャイチャしだす二人。
兄貴は、弱らせた俺には目もくれない。
そう、番は本来こうあるべきなんだ。
αだって、一人のΩに全部を捧げる覚悟が無いと。
好きな相手がいる姉貴には、無理だろう。
形ばかりの番は、不幸なΩを作ってしまう。
父さんに聞かされた、身勝手なαに振り回される不幸なΩの一人になってしまう。
「倭人、もうそろそろ行かないと遅刻じゃないのか?」
「・・・はい、行ってきます」
父さんに促され、気合を入れて立ち上がる。
朝から制圧フェロモンって、きつすぎる。
そこまでさせるってことは、姉貴に好きな相手がいるのは知られちゃいけないことなのか。
それなら、どうすれば・・・
俺は重い足取りで、学校へと向かった。
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