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5-25 都市伝説 side 倭人
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病院から帰って父さんに報告を済ませると見慣れない真鍮製の鍵を渡された。
「これって、どこの鍵?」
「東側の離れ。
木立の中のレンガで作ってる赤いアレだ。
まだ高校生だし俺は反対したんだけど、菊川家ではひとつの建物には一組の番しか認めないんだと。
澪が準備させたって言ってた。
清人と一緒で、飯の時間以外はそこを使えばいい。
使用人も既に手配済み、荷物も運ばせた。
あと半時間で夕飯だから、行くのはそれからな。
それまでこの部屋でゆっくりしとけ」
「わかった」
温室付の東の離れか。
桜宮は花好きかな?
趣味で集めた花が育てられてるし、気に入るといいけど。
黙って俺の後ろ、壁際の椅子に座ってる桜宮を振り返る。
桜宮は部屋に入ってから一切会話に口を挟まず、父さんをキラキラした目で熱心に見てる。
父さんも、だけど。
姉貴に対しては、特に、桜宮の態度が俺と違う気がする。
「まぁ、病院でいろんな人間とあって少しは落ち着いたな」
落ち着いて、随分薄くなった俺のフェロモン。
桜宮を見ながら父さんは満足そうに笑い、桜宮もそれに答えて笑い返す。
ん、これくらいなら全然気にならなくなってきた自覚はある。
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