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つまらない日常
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「君、あの時の…」
俺が狙ってたラスイチの卵を手にした男。
無駄にイケメンで、しかもすごく優しい顔をしてる。
この前は夜だったから見えづらかったけど、光あるとこでみてもやっぱりイケメンだ。
「あ、卵…もしかしておつかいだった?」
「安いから買って帰ろうと思っただけ…別にいいです」
「そう?でもきっと買って帰ったら喜ぶよ。これあげるね」
そう言ってこの人は俺のカゴに卵を入れる。
見た目だけじゃなくて行動まで優しいとか…何この人。
おかしいんじゃないの。
って思うけど…おかしいのは俺の方で、心臓がずっとドキドキしてる。
「この前の傷、少し消えたみたいでよかった」
「…消毒液くれたから」
「あ、そうだったね。役に立ったでしょ?」
子供みたいな笑顔を向けながら傷を受けた首筋に少し触れられ、傷が薄くなってるのを確認された。
ふたりでレジに並んでお会計を済ませると、男はハッとした様子で俺の方に向き直った。
「あ、俺は黒瀬 玲(くろせ れい)。情報処理とか事務的なことしてるサラリーマン。よろしくね」
「…加藤弥月」
「弥月くんか。よろしくね」
「…うん」
差し出された手を、振り払う理由もないから握手を交わした。
「じゃ、また会ったら声かけてね」
子供みたいに手を振って車に乗る黒瀬さん。
彼と触れた手が、首筋が、どうしようもなく熱くなる。
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