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「ほんで、どうしたん?」
「ちょっとふらっと歩いていただけなんだ。って、猛は今日休みのはずなのにどうして?」圭吾が家を出た時、猛は寝ていたはずだ。
「電話呼び出しを食らったんだわ。シャンプーの発注ミスがあってさぁ」面倒ったらない、とぶつくさ言っている。
「休憩時間が被るなら、昼飯でも一緒にどう?」
「残念だけど今は無理かな」
「じゃあ、また誘うよ。今度は先にメールでもするから」
「今日の夕飯、何にする?」
「ああ、そうだ。今夜、祭りに行かないかな? 立山さんから教えてもらったんだけど、商店街の近くにある神社でやるみたいなんだ。夕飯は屋台で済ませようよ」
「いいね。焼きそばが食いたいし!」うきうきとした様子だ。
「終わるのは何時になりそう?」
「あと二時間はかかるけど……圭吾が終わるまで、そこいらふらついて時間を潰すわ。終わるの、十八時だったっけ?」
圭吾は小さく頷く。
「そんじゃ、そのくらいに店に行くから」
猛が言ったと同時に美容室のドアが開く。
「おおい、話はまだ終わらないのか?」
「はい、すぐに行きます」出てきた男に返事をし、彼はこちらに手を振ってくる。「またあとで」
圭吾も軽く手を振り返してその場を離れた。
店から近いコンビニに入り、弁当売り場で足を止める。
それにしても―と、圭吾は先ほどのふたりの様子を思い返す。カットモデルの話にしては、流れていた雰囲気がおかしかった。何より、そんな話ならば拓也は店に遅刻すると連絡を入れるはずだ。至急の用件であったとしても、こんな時間まで出勤が遅れることはないだろう。拓也があれほどまでに慌てていた理由もつかなくなる。
ふたりの間に、自分の知らない何かがある。圭吾はそう感じた。
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