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** 不良Side ① **
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唖然とした…。
今朝(時間的にSHR中)、いつも通り溜まり場に来ていたら、湊さん達が一人の生徒を連れて入ってきた。
湊さんが担ぐようにしていた生徒の見た目は、不良校では珍しい黒髪をしていて、地味で平凡そうな顔に眼鏡を掛けていた。
どこかで……つい最近見たことのある顔を思わずまじまじと見てしまい、その視線に気づいたのか何なのか、こちらを向いた。
そしてハッとする。
体育館で見事な回し蹴りを披露した生徒ではないかと。
周りも気付き始めたのか、その生徒を興味深そうに見ている。
一部始終を見ていた生徒は少ない―?俺以外にあと数人くらいか?――が、あの回し蹴りを見てしまっていた生徒はかなり多かったのではないかと思う。
そんな生徒が何故ここに?目立った行動で湊さん達に目を付けられた?
…疑惑はすぐに解消されることになったが、雅さんの言葉で。
「…お名前を聞いても良いですか?」
雅さんが警戒していないという事は、他の皆さんもしていないという事。
結果、この生徒が“悪い意味で目を付けられた”という疑惑は霧消するわけだ。
そしてその言葉に返答があったのは、しばらく経った後だった。
返答するまでその生徒は何かを考え込んでいるようで、表情が(見える範囲で)コロコロと変わっていた。
そしてその生徒は“マシロ ユキノ”と名乗った。
“真白”という先輩がいたが、血縁者だろうか…?
全然似ていない気がするんだが…
そして雅さん達が自己紹介しているにもかかわらず、何の反応を示さない生徒を不思議に思い、そちらに目を向けると…
『………』
ぽけーっとした顔をしていて、この状況に対して現実逃避…嘆いているように見える。
でも、そんな顔をしていた割に話は聞こえていたみたいで…
雅さん達の要望を考慮した上で、名前を読み上げていった。
この時点で、言葉を鵜呑みにして“呼び捨て”呼んでいたら、この教室にいる俺を含めた不良が容赦しなかっただろう。
……いくら、湊さん達が気に入っていたって、こればかりは俺達も譲れねぇ。
そして…
『…教室に帰ります。』
突然言い出した言葉には、普通に驚いた。
伊織さんと伊澄さんの言葉の何がいけなかったのか、俺にはよく分からないが、そいつにとっては、怒りにも相当するものだったらしい。
その結果、そいつは勢いよく扉を閉め、出て行った。
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