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眼帯の男の子
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8:25
ギリギリセーフで校門をくぐって階段を駆け上がって行く。
本鈴の30分までに教室に入ればセーフだし、なんとかなるかな。
リュックを背負い直して一番奥の教室まで走り抜けようとした時、斜め前に小さな人だかりが見えた。
「なになに?なんかあった?」
「あ、夏希おはよ。なんか、厨二病?みたいな奴が目付けられてさ。」
「厨二病?…右目が疼くやつ?」
「そ。眼帯つけてるんだってさ。」
「なにそれ、目怪我したとかじゃねーの?」
友達の言葉に首をかしげ人だかりの前へ進んでいく。
金髪のヤンチャに絡まれてるのは確か同じクラスの…誰だ。
確かに同じクラスの奴のはず。
眼帯をつけてるだとか、絡まれてるのがやばいとかの前に震えきっている方がよっぽど可愛そうだ。
「ほらほら、もう本鈴なるしやめよーよ。大丈夫?そこのえっと…眼帯の子!」
「面倒なの来たし戻ろうぜ。」
「はい、ご苦労さまー」
金髪組に手を振って眼帯のこの前にしゃがむ。
名前がいまいち思い出せない。
確か羽…ハジマ…?
「大丈夫?怪我とかは?」
「…大丈夫。」
「よかったよかった、めばちこ?チャイムなる前にさっさと教室戻ろーよ。立てる?手貸そうか?」
黒い髪の隙間から白い眼帯がちらりと見えた。
まぁ、多分めばちこか目が腫れてるかそんな感じのやつだろうけど。
返答がないから俺も何も出来ない。
…このままじゃ2人揃って遅刻では?
「あー、もう早く立てって。金髪のやついなくなったからさ、なに?腰抜けた?遅刻つくぞ。」
「…ごめん、…っごめん、なさ…い…っ…」
「え"、いや泣かなくていいから俺が泣かしたみたいになるじゃん、ちょっと…?」
流石に泣かれたら面倒くさい、と俯いた顔を上げさせようと触れて気付いた。
さっきから震えてるとは思っていたけど全身が小刻みに震えてる。
…怖いとか、ビビってるとかの問題じゃないのか?
「なぁ。別に俺、お前に何もしないから。ほら、見て。何も持ってないだろ。」
「…ごめん…っ…」
「もう謝らなくても大丈夫だって。一緒に遅刻してやるから。これ貸しだからな、後でジュースでも奢れよ。な。」
優しくそう言ってやると震えがだんだんとおさまっていく。
こんなやつどこかで見たことがある。
なんだったっけ。
本鈴が鳴るのを聞きながら眼帯君と一緒にただ廊下にしゃがんでいた。
そんないつもより少し遅い朝。
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