アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
2
-
本鈴が鳴って数分。
ようやく眼帯君の顔が上がり、怯えた目で俺を見上げてくる。
…顔みても名前が思い出せない。
「なぁ、教室は入れそう?…いやまだ無理だよなぁ。どうする?一時間目サボる?」
「…ごめん、俺のせいで。」
「いやいやもう謝らくていいからさ。俺、サボルとかいつもの事だし。それより先生来る前にさっさとどっか行かないとなーもう立てるだろ?俺のサボりスポット教えてやるよ。」
「え、いや…っ…その、…」
「いーから。さっき言った借りだと思って。」
眼帯君の手を引いてさっき上がってきたばっかりの階段を降りていく。
別にこんな誰かわからない奴、助けなくてもよかったかなーなんて思うけどついでならサボりの共犯にしてやろう。
もし教師になにか言われたらコイツのせいですって言えばいいしな。
あながち間違ってないし。
「ほい、座って。」
「…えっと、…」
「あーもう。何もしないって、人のこと見た目で判断してるならやめた方がいーよ。髪の色違うからって誰だって人殴らないからさ。ただの茶髪。薬局で誰でも染め粉くらい買えるっしょ。」
「ごめん。見た目で判断したわけじゃないんだけど、ちょっと…いや。ありがとう。」
ありがとう、と言うと優しく笑う。
あーなんだ笑えば普通の奴じゃん。
真っ青な顔して震えてるから死にかけてるのかと思ってた。
人気の少ない校舎裏。
一つだけ置かれたベンチに二人座っても、すぐに沈黙になってしまう。
話しかけようとして あぁそういえばと思い出す。
「な、ハジマ…だっけ?」
「…ハジマ?」
「名前!あんまりクラスの名前覚えてなくてさ。」
「あぁ…羽白。羽白 蓮。」
「ハシロか!惜しいな、頭はあってたのにさぁ。絶対、羽って字が入ってるって思ってたんだよ。あってる?」
「そう。羽に白で羽白。草冠のある方の蓮でレン。」
空中に文字を書いてそう言われて納得する。
一応覚えてる分はあってたな。
同じクラスでもほとんど話さなかったから…いや、今日初めて話すレベルかもしれない。
「あ、俺は森宮夏希。漢字は森に宮に夏に希な!わかる?」
「覚えてた。」
「流石、優等生は違うなー。あ、いい意味でな?褒めてるから今の。」
「ありがと。」
またさっきと同じ笑顔だ。
それなのに、なんかどこかぎこちない。
…眼帯のせいか?
「なぁ、それさ。」
眼帯を指さした瞬間、キッと顔がひきつった。
あれ。
これは聞かなかった方が良かったのかもしれない。
そう思っても もう手遅れなわけで。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
5 / 426