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変わった世界
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今朝。
目が覚めて、いつも通り支度をして家を出た瞬間。
足の震えが止まらなかった。
いつ後ろから殴られるんだろう
いつ誰かに襲われるんだろう
いつ、俺は犯されるんだろう
そんな考えに支配された、足がすくんでうまく歩けなかった。
やっとたどり着いた学校でも視線が、声が、姿が何もかもが怖くて仕方なかった。
教室に入ろう、席に座ろう。
そうすれば少しは落ち着ける。
早足で廊下を歩いたのが悪かったのかもしれない。
ぶつかった相手は金色の頭。
昨日の出来事を思い出す。
怖くて、怖くて。
息すらもうまくできない。
必死に何度も"ごめんなさい"と繰り返していた。
誰か助けて、なんて柄じゃない。
誰も助けてなんてくれない。
恐怖に支配されもう周りなんて見えなかった。
ふと声をかけられ顔を上げると見たことのある顔が俺を覗き込んでいた。
どこか、心が癒された気がした。
初めてしたサボりも、初めてした会話もたわいのない事のはずなのに。
何もかも変わった世界で唯一ある日常な気がした。
「今日はさ、早退しちゃえば?それで明日からまた頑張ろーよ。そんな気分じゃん?」
「…かな。」
「はい、決まり。それじゃーまた明日。」
「あぁ、…うん。また明日。」
「お大事にーっ」
森宮が自転車で遠くへと向かっていくのを見送っていた。
十字路を曲がって姿が見えなくなった瞬間、腹から喉に向かって急に何かが逆流してくる。
「っ…、ぅ"……っ、ぁ…」
口から溢れる吐瀉物を見ながら、ふと思った。
あぁ、死にたい。
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