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両手で口をおさえて、息が漏れないようにする。
全身が震えて変な声が出そうだ。
森宮が心配そうに俺の顔を見るとため息をついて金髪に向かって話し出す。
「弱いものいじめやめた方がいいよー?ほら、さっさとあっち行け。しっし。」
「あ?…お前さ、誰に口聞いてんの?」
「誰にって同級生に遠慮しろって?俺、そういうのあんまりわかんないの。空気読めないからさぁ。」
迷惑をかけている。
俺のせいなのに、俺がなんとかすればいいのに怖くて何も言えない。
森宮、放っておいて大丈夫だから。また遅刻するぞ。
勇気を振り絞って口を開こうとした時、金髪の拳が高く振り上げられる。
嫌だ、やめて。
「っ、と…なに。やるの?」
「このクソが、っ…!」
「そっちがその気なら俺だって手ー抜かないけど。」
振り上げた拳が森宮の頬へ当たり、次の瞬間には森宮の足が相手の腹を蹴り飛ばしていた。
…忘れてた、コイツ。…森宮って割とヤバイ奴じゃ。
床に倒れ込んだ金髪を森宮が見下ろして踏み出そうと足を浮かせる。
「なぁ、なんか言ったら?ビビって口も出ないって?」
「おい、森宮だな?また手出したんだな、こっちにこい…っ!」
「…うわぁ、やばい。先生だ。」
向こうから聞こえた声に森宮が振り返る。
つられて俺も振り返ると顔を真っ赤にした学年主任が森宮を指さしていた。
ちがう、何かがすれ違ってる。
まさか 森宮が悪者になっているんじゃ…??
そうやって頭の中では考えられるのに口には何も出さないまま、俺は蹲ることしか出来なかった。
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